闘将野村「新経営論」第22回|インタビュー|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2019.02.25

闘将野村「新経営論」第22回

闘将野村「新経営論」第22回
天才と凡才の商売学

 商売というのは面白い。勉強のできる人が儲かるとも限らない。次々と新しい発想が出てくる社長がいる。一つの分野に特化して仕事ができるということであれば分かるのだが、スポーツジム・不動産・エステ・保育園・農園など、いろいろものを手掛ける。勉強ができるのではない。商売ができるのだ。
楽しそうに仕事をしている人を見るとき、いつも思う。きっと商売にはお金儲けとは違う魅力があるのかも知れないと。

-監督の話しを聞いていると、心理学に近いなと思うことが多々あります。そういうのは本を読んだりして勉強しているのですか。

野村 心理学の本は大好き。

-本は結構な数、読まれてきたのですか。

野村 無知無学という自覚があるから。やっぱり知識がまったくないし、野球バカの典型だから。世界の常識とか一般常識とか一切ないの。
 草柳大蔵という東大首席の評論家がうちの女房の友達だったの。それで俺が評論家になった時に、女房に「評論家って何だろうね?」という話しをしたら、「いい人がいるわよ!」って言って紹介してくれたの。これから評論家で生きていかないといけないから、「先生、評論て何ですか?」と聞いたら、「野球で言えば審判みたいなもんかな」ってさ。善悪審議判定を下すのが評論だと。それは一つの予備知識としてあれば大事だよね。世の中には頭のいい人っているんだなと思って、草柳さんてすごい知識人。

-監督業が得意な人の中には、選手としてもすごかった人と、選手ではそれほどでもなかった人がいますよね。

野村 名選手必ず名監督ならずという場合もあるじゃん。

-それは何が違うんでしょうか。

野村 苦労じゃない?名選手じゃない人は苦労しているじゃん。名選手には、長嶋を筆頭に天才的な人が多いよ。バッティングにしても何にしても苦労してないから、指導する時にそれは出るわ。「お前こんな事もできないのか!」ってなるんだよ。できないものはできないんだよ。

-天性の人にはそれが分からないんですね。

野村 天性の人は分からないんだよ。だから名選手だった人はそういう人が多い。自分の尺度でモノを判断してるから、やっぱりできないものはできない。教え方のレベルまでいかないんじゃない。そいつらは、そんなことで悩むとこじゃない。

 野村監督の話は、「天性の天才と思うライバル社長を超えるにはどのようにしたら良いのだろうか?」という問いの解決になるかもしれない。そう、天性の人よりも自分はできない人間であるということを知っている。だから、同じ境遇の人の気持ちがよく分かるということなのだろう・・・。