小型キッチン最前線 最新トレンドを探る|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2019.03.25

小型キッチン最前線 最新トレンドを探る

小型キッチン最前線 最新トレンドを探る
流行りのカラーはナチュラルテイスト
 
 ワンルームなどの単身者向けの賃貸住宅のキッチンといえば、誰もが箱形のミニキッチンを想像することでしょう。しかし昨今では、入居者の価値観が多様化していることや、賃貸物件を取り巻く環境が厳しくなっていることなどにより、小型キッチンにも付加価値が求められるようになってきています。小型キッチンに特化したメーカーへの取材により、その最前線を探りました。

「ここ数年、『ミニキッチン』というと、単に小型のキッチンだけでなく、いわゆる『コンパクトキッチン』も含まれるようになってきました」

 こう話すのは、小型キッチンの製造販売を展開する亀井製作所・営業部の堀英一部長。同社では「ミニキッチン」と「コンパクトキッチン」を区別しています。
 堀部長によると、ミニキッチンとは、サイズに規格があり、シンクやコンロ、換気扇、収納などが収まっている箱形のものを指し、コンパクトキッチンとはいわゆるシステムキッチンの簡易版で、継ぎ目のない天板が使われ、システムキッチンに盛り込まれているさまざまな機能の一部を省略し、小型化したものを指すそうです。なぜ、これらが一括りにされるようになってきているのかと言うと、この数年間で、コンパクトキッチンも含めた小型キッチンに対する需要が高まっているからに他ありません。
 亀井製作所は平成30年に創業70年を迎え、ミニキッチンメーカーとして40年以上の実績があります。また、平成19年に発売した「ケアハウスキッチン」をはじめ、アクティブシニア向け小型キッチンのラインアップも一つの柱とするなど、時代に則した商品開発に注力しています。
 目下、小型キッチンにも多様化が求められている市場において、亀井製作所はどのような企業努力で差別化に取り組んでいるのでしょうか。
 亀井製作所では現在、外部から講師を招き、デザインを学ぶ場を設けています。これにはさまざまな部署から代表者が出席することになっており、いろいろな役割の従業員が定期的に集まり、デザインについて学んでいるそうです。
 そのような取り組みを継続するなかで、2017年にはコンパクトキッチン「Albero(アルベロ)」が誕生しました。
 「『使う』キッチンから、『観せる』キッチンへ。」というキャッチフレーズが付けられたアルベロは、まるで観葉植物が室内に置かれているような存在感のキッチンを目指し、収納扉や側板が木目で、全体的にシンプルさを追求しています。

「今までキッチンにははっきりした色が使われることが多かったですが、消費者の近年のナチュラル志向を受けて、商品開発に取り入れたのがアルベロです」(東京支店・津曲悠衣さん)

 発売以来、賃貸住宅関連からの反応がとても良く、津曲さんは「木目部分の色調を変えることができるので、その賃貸物件ごとのコンセプトに合わせたキッチンにできることもひとつの強みになっていると思います」と話しています。
 賃貸住宅の稼働率や賃料設定は、適切な設備更新やバリューアップのためのリフォームを実施しなければ、築年がたつほどに厳しさを増します。そのような状況を食い止めたり改善したりするために、デザイン性を高めるリフォームが奏功したという事例は、賃貸の現場ではたびたび見受けられます。
 キッチンは小型でも、手入れや使われ方によって消耗する度合いが大きく異なります。年数としてどれくらい使ったら替え時と考えるよりも、退去のタイミングで、既存のキッチンのスペックやデザインなどを、その時のトレンドと見比べて最適なリフォームのタイミングを図る方が適切だと言えるかもしれません。キッチンに関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。