購買心理学から見る『日本経済とプロレス』 (第3回)ゲスト:スタン・ハンセン|著名人|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.04.20

購買心理学から見る『日本経済とプロレス』 (第3回)ゲスト:スタン・ハンセン

購買心理学から見る『日本経済とプロレス』 (第3回)ゲスト:スタン・ハンセン
今、日本経済も停滞期に入りつつある。日銀の低金利政策は、スーパーの特売セールと同じである。金利が安くなったからといって、我慢していた設備投資をしようというのは最初だけだ。
 365日、1パック99円の卵セールをしていたらどうだろうか?はじめは、それを安いと思って消費者は飛びつくだろうが、しばらくすると99円が当たり前になってしまうはずだ。当たり前なのだから、並んで買う必要もない。いつでもその価格なのだから、慌ててスーパーに行く必要もない。
 購買心理学で言うと、基本的に顧客を誘導させるには、期間や数量を限定しなければならない。「お母さん、広告の期間は今週末までだって」と言われるから、卵がまだ冷蔵庫の中にあっても追加で週末に2パック買いに行くのである。
 「この低金利は3年間です。3年後には必ず金利は上がります」と言われたらどうだろうか?「それなら安い今のうちに新規設備導入しよう」となるのである。
 3年後に景気が上がっていなかったらどうなるか?スーパーと同じである。卵は確かに139円になってしまったけれど、今度は、キャベツを1玉99円にしたら良い。それでも「母さん、キャベツの広告期間が今週末までだって」と言われれば、まだ冷蔵庫に残っているのに、今回もキャベツを買いに行くのである。
 金利は、ゼロ金利から戻ったけれど、新たに住宅減税というものができた。設備投資減税というのができたのなら、その時の弱いところを赤字で投資して、他の商品も買ってしまえば良いのだ。
 できない経営者は、すべてを安く販売してしまう。すべての景気対策を打ってしまう。これでは赤字が広がるだけで、店は繁盛しない。あくまでも目玉商品を作って安く見せて、ついでに鮮魚も調味料も買ってもらわなければならない。この導線を作らない特売セールには意味がないのである。
 神武景気はなぜうまくいったのか?答えは簡単である。その町にスーパーが1店舗しかなかったからだ。商売の秘訣は、競合のないところで商売をすることである。当時は、アジアで競合がいない時代だったからうまくいったのだ。

-スタン・ハンセンさんはヒールであったにもかかわらず、40年近く日本のファンに愛されてきた理由を、ご自身でどのように考えておられますか?

S・ハンセン 正確な理由は分かりません。私のスタイル、そしてもしかすると、見ている人やレスリングファンに対して私が表現したキャラクターが大いに関係しているのだと思います。なぜ人々が私のヒール役を楽しんだのか、また好んだのか私にも分からない。

 高度成長期は1973年(自民党 第2次田中角栄内閣)までの19年間で終わる。1956年経済白書で、もはや戦後ではないと宣言。それからの18年間にわたり、毎年10%以上の経済成長率を達成した。そして日本の高度経済成長が終わった1973に、年一人のプロレスラーが誕生する。その名は、スタン・ハンセン。

S・ハンセン 私は当時から、リングに上がっているときやレスリング中は敵との試合に集中して、観客のためのレスリングはしていませんでした。それが結果的に、ファンが増えたことに関係があるのかも知れません。

 プロレス業界でも高度成長期とそれ以降で、求められるものが変わっていった。

(次号へ続く)