真説 賃貸業界史 第29回~ハウスメーカーが提案する建築・サブリース・管理一体のビジネスモデル~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2020.07.20

真説 賃貸業界史 第29回~ハウスメーカーが提案する建築・サブリース・管理一体のビジネスモデル~

真説 賃貸業界史 第29回~ハウスメーカーが提案する建築・サブリース・管理一体のビジネスモデル~
ハウスメーカーのサブリースは所詮、建築を受注すらためのツール

 世の中に数多く存在するサブリース会社。その内訳を分析してみると、大きく2つの種類に分類されることが分かる。一つはメーカー系と呼ばれる業者で、大手ハウスメーカーの系列として、親会社が建築した物件の管理を請け負う。もう一つは独立系と呼ばれる、どこの住宅メーカーにも属さない業者だ。今回は前者について、その成り立ちを追っていく。

 大東建託、積水ハウス、大和ハウス工業、東建コーポレーション等々、アパート・マンションによる土地活用を提案する企業は、建築とサブリース、管理をセットにして提案しているケースが多い。それぞれの業務を別々の会社に任せるのと比べ、すべてを1つの会社に一括して任せることができるこの仕組みは、オーナーにとって非常に便利で効率的だ。では、こうした仕組みはいつ頃できたのか。
 実は、こうした手法は広まったのは1970年代の終りから1980年代初めにかけてのことで、それまでは、住宅メーカーはあくまでもメーカーとしての立ち位置でアパートの建築だけに注力し、管理を行ってはいなかった。
 なぜか。その理由はいくつか考えられる。一つは、今もそうだが、管理業はクレーム対応に追われることが多いためだ。昔のアパートの品質はそれほど良くなく、使われている設備も戸建と比べるとグレードがかなり低かった。当然、故障も多く、頻繁にクレームが発生した。家がどんどん売れていた時代だ。大手に限らず、住宅メーカーではとてもではないが、対応することができなかった。
 また、管理業の地位が低く見られていたことも、理由の一つだと言われている。昔は「家を買うこと」が成功の証であり、一つのステータスになっていた。アパートはいわば、“家を買うまでの繋ぎ”であり、それゆえに管理業者に質は求められていなかった。伸び盛りの住宅メーカーが、世間から低く見られる仕事をしていたのでは、肝心の家が売れなくなってしまう。だから積水ハウスも大和ハウス工業も、みんな管理をやらなかった。
しかし、それでも賃貸経営には管理が不可欠だ。そこで当時の大手住宅メーカーは、各地に建築後の管理を任せる提携業者を作っていった。その代表格とも言えるのがハウスメイト(東京都豊島区)だ。同社は井関清氏(故人)によって1974年に創業された老舗の管理会社だが、「もともとは大和ハウス工業が建てたアパートの管理を請け負う会社としてスタートした。同じように大和系賃貸住宅の管理を行うためにできた会社は、今でも各地に点在している。
 だが、最初は管理業に関心を示さなかった住宅メーカーも、管理業が成熟していくにつれて考えを改め、やがて自分達で管理を行うようになっていった。1970年代後半にはサブリースの仕組みが考案され、建築とサブリース、管理を一気通貫で行うビジネスモデルが一気に普及していった。
 今では、住宅メーカーは他社に管理を任せたがらない。管理をやっていれば、入居者にさまざまな商材を販売できるからだ。家賃債務保証、設備保証、インターネット、保険、家電等々、いくらでも利益を上げることができる。管理を他社に投げてしまっては、みすみす商機を逃すことになりかねない。だが、住宅メーカーがセットで提案するサブリースに対してはネガティブな意見も多い。なぜなら、建築を受注するためのツールに利用されるケースが多いためだ。

「建てた後もうちが家賃を保証するのでリスクはありませんよ」

これで契約してしまうオーナーは多い。実際には定期的に契約内容が見直されるため、30年、35年後まで計画通りに収入を得られる可能性はほとんどない。極論かもしれないが、メーカー系管理会社は親会社が受注さえ取れれば良い。だから何年後かに契約を切られたとしても、すでに建築でしっかり利益をとっているから、それはそれで構わない。レオパレス21の違法建築が大きな社会問題となったが、こんなことが起こるのも建築さえ受注できればあとはどうでもいいと考えがあったからではないかと推測する。建築後のオーナーのことを真面目に考えていれば、あんないい加減なことはできないはずだ。一方で独立系業者はサブリース一本で勝負している。オーナーにしっかり利益をもたらさないと、食い扶持がなくなってしまう。だから真剣だ。
 もちろん、メーカー系サブリース会社を全否定しているわけではない。大手の看板の方が安心だというオーナーもいるだろう。大事なのは、それぞれのメリット・デメリットをきちんと理解した上で、最適なサブリースを選ぶことだ。