レオパレス21の救世主役にヤマダ電機が急浮上|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.08.03

レオパレス21の救世主役にヤマダ電機が急浮上

レオパレス21の救世主役にヤマダ電機が急浮上
噂は本当か?真実を探る

 建築したアパートの施工不良問題で苦境に立たされているレオパレス21(東京都中野区)の2020年3月期決算は、大方の予想通り大幅な赤字となった。その額802億円。686億円の赤字だった前年度から、状況はさらに悪化した。業績不振を受けて同社は、アパート建設の新規受注を停止して賃貸事業に注力することや、1000人の希望退職を募ることなどを盛り込んだ構造改革方針を発表した。だが、一度失った信用はすぐに取り戻せるはずもなく、経営再建への道は果てしなく険しい。頼みの綱のサブリース事業も、入居率の低下に伴い収益性が大きく低下。2021年3月期についても、80億円の純損失が出るだろうと予想している。
 そんな瀕死の状態にあるレオパレス21に対し、ある会社が救いの手を差し伸べるのではないかという噂が取り沙汰されている。その会社とはヤマダ電機(群馬県前橋市)だ。現時点で両社から正式な発表はないものの、自力での再建が難しそうなレオパレスの現状を見れば、その可能性はゼロではなさそうだ。
 ヤマダ電機と言えばこの数年、家電量販一本での成長は限界だと判断し、シナジー効果の期待できそうな住宅やリフォーム、不動産の分野へと事業の領域を広げてきた。その際にいち早く事業を立ち上げる手段として用いてきたのが、経営難にあえぐ会社の買収だ。老舗住宅会社のエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)やリフォーム専業のナカヤマ(現ヤマダ電機 リフォーム事業部)など、業界で名の知れた会社が次々に傘下に収められていった。最近では父と娘のお家騒動をきっかかけに業績を悪化させた大塚家具への資本参加が話題になった。不動産分野については自社でYAMADA不動産を立ち上げたものの、グループの売上に対する貢献は今のところごく僅かだ。信用を失ったとは言え、業界2位の管理物件を有するレオパレスを傘下に収めれば、不動産分野を一気に強化することができ、さらにグループ内で相乗効果も生み出せると考えてもおかしくはない。だが、果たしてそんなにうまく事が運ぶだろうか。
 そもそも、レオパレス21をグループに加えた場合、どんなシナジー効果が期待できるのか。レオパレス21と言えば、家具・家電付きの賃貸がウリだ。約57万戸とも言われる管理物件に対し、ヤマダ電機グループで家具・家電を設置することができれば、大きな売り上げにつながるだろう。だが、ほとんどの管理物件には、すでに家具・家電が設置されている。新築の受注は当面の間、停止された。グループ入りを機に、全管理物件の家具・家電を入れ替えるという方法もないではない。だが、その場合に問題となるのが、その費用をだれが負担するのかという点だ。施工不良物件の改修工事に多くの資金を投入しているレオパレス21には、とてもではないがそんな余裕はないだろう。ではアパートの所有者であるオーナー達に負担させるのか。すでに煮え湯を飲まされているオーナー達が、そんな提案に同意することはないだろう。現状を見る限り、レオパレス21がヤマダ電機グループに加わったところで、シナジー効果はすぐには生まれないということだ。もちろん、それを承知の上で、中長期的な視点でシナジー効果を期待することもできなくはない。だが、グループを率いる山田昇会長には、おそらくそんな悠長な考えはないだろう。3期連続で赤字を出していた大塚家具に対してさえ、子会社化した際の会見で「来期黒字化を目指す」と宣言して、その場にいた記者たちを驚かせた。
 では、レオパレス21を子会社化するメリットは他にあるのか。可能性があるのは「負ののれん」だ。RIZAPグループのゴタゴタでも話題になったのでご存知の方も多いと思うが、要は、会社を現在の価値以下で買収した際に生じる差額を、利益として計上する手法のことだ。例えば100億円の価値がある会社を、赤字が続いているなどの理由により80億円で買った場合、差額の20億円は利益として計上することができる。レオパレス21の場合はどうか。一連の騒動の前後で株価が4分の1にまで下落したことを考えれば、ある程度の負ののれんは期待できるかもしれない。
 レオパレス21はどうなるのか。倒産するようなことになれば、4400社とも言われる下請け業者が路頭に迷うことになる。果たしてヤマダ電機による買収は噂に過ぎないのか。火のないところに煙は立たないと言うだけに、実現に期待したい。