レオパレス21 希望退職に予定以上の人数が殺到|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.09.07

レオパレス21 希望退職に予定以上の人数が殺到

レオパレス21 希望退職に予定以上の人数が殺到
入居率は3カ月連続で損益分岐点を割り込む

 8月7日、施工不良問題で業績不振に陥っているレオパレス21(東京都中野区)が、35歳以上の社員を対象に募集していた希望退職に1067人の応募があったことを発表した。当初計画していた1000人を上回る数の応募者が殺到したことは業界内外に大きな衝撃を与え、早くも再建を疑問視する声が多く上がっている。
 レオパレス21をはじめとするアパート業者の最大の武器は大手のブランド力を背景にした営業力だ。業績を立て直し、不振から脱するためには、営業力に優れた優秀な社員の存在は欠かせない。しかし、過去の同類の事例を見る限り、優秀な人材が会社に残る可能性は極めて低い。というのも、そこまでして社に残るメリットがなく、優秀な人材であればあるほどライバル会社から良い条件で誘いが来るからだ。今回の問題が発覚する以前は、毎年平均8棟のアパートを受注していたという営業マンも、この7月にライバル会社からスカウトを受けたため、同社からの退職を決断したという。もちろん中には、「お世話になった会社を見捨てることはできない」と気概を見せて、再建に力を貸そうという社員もいるだろう。しかし、そうした社員がいくらいたところで、容易に再建できない状態に陥っているのが今のレオパレス21だ。それもそのはず、やってきたことがひど過ぎる。社会的な信用を取り戻すといっても、生半可な努力ではとても成し遂げることはできないだろう。施工不良のアパートにしても、「改修工事をしたのでもう安全です」と言われたところで、誰が住みたいと思うだろうか。実際、アパートの入居率は坂を転がり落ちるようにどんどん低下していている。7月には前月から0.9ポイントも下落し78.6%となった。損益分岐とされる80%を割り込んだのは、これで3カ月連続だ。新型コロナウイルスの影響で、人の移動が制限されている現状を考えれば、これからもしばらく、入居率が改善されることはないだろう。要であるはずの管理物件からの収入がこれからも減り続けていくようであれば、再び希望退職者を募らなければならない事態になるかもしれない。そうなればもう、業績の回復を目指すどころの話ではない。経営破綻もいよいよ現実味を帯びてくる。
 果たしてレオパレス21の復活はあるのだろうか。企業再建に詳しい専門家によると、「仮に新型コロナがなかったとしたら、希望退職者はもっと多かったかもしれない。すぐに再就職先を探せるような経済状況だったら、きっともっと多くの人が手を上げていたはずだ」と指摘する。とはいうものの、入居率の低下に歯止めがかからない現状を見ていると、希望退職者がもっと多かった方が、削減できる人件費が増えるため、同社にとっては良かったのかもしれない。
 管理戸数だけを見れば、同社は今も業界2位の大手の一角だ。だが、所詮それは単に数が多いからであって、中身は伴っていない。優秀な人材の流出が今後も続くようであれば、再建への道はますます厳しくなっていくはずだ。