闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第11回)|インタビュー|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.10.12

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第11回)

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第11回)
05 1番の法則-自分を成長させる糧とは③

 オールスターゲームで王貞治選手を20打席以上ノーヒットに抑えたという野村監督。時間を追うごとにその口ぶりは段々と熱を帯びてきた。

-ストレート勝負とかではなかったんですね?

野村 王の攻略はそんなに難しいことではないんだよ。合気道打法だから。王の好きなのは真ん中から外寄りのコース。ここが彼の一番のホームランゾーン。そこでアウトコースの低めを要求するでしょ。それがちょっとでも上がるとガーンと打たれる。なんでインコースいかないんだって。ホームランバッターにインコースを攻めるというのは非常識だから。インコースへ真っ直ぐはダメ。真っ直ぐしか待ってないんだから。今でいうカットボール、インコースへちょっと曲げればいいんだよ。来た球を打つ、合気道打法だから。だからちょっと動けば全部ファウルだ。ファウルで簡単に追い込めるんだよ。それでツーストライク取ったら、あとのことはそこから考えればいい。だから俺は王を追い込んでから、ボールゾーンからアウトコースに入ってくるスライダーとかカーブとかを勝負球にしていたんだよ。それで真ん中からちょっと外寄りにフォークで落とすとショートゴロ、セカンドゴロとなる。要するに左バッターのゴロゾーンだ。
おれもプロに入った頃は無知だったから、ダブルプレーが欲しいという状況でインコースをつまらせて5-4-3ていう。それがダブルプレーを狙うバッターへの攻略だったんだよ。一番ゴロをする真ん中からアウトコースの外寄りに落ちる球を、そこを引っかけさせる。それが一番、ゴロの確率が高いわけだよ。
テスト生の田舎者で無知だったから、毎日スコアラーのとこへ行ってたよ。その人の部屋に行っていろいろ聞いて、インコースにつまらせるサードゴロよりも、真ん中外寄りの球を引っかけさせてゲッツーが欲しいときは、ショートゴロ、セカンドゴロの方が確率はいいというのに気が付いて。

-やっぱりセ・リーグでやりたかったという思いもあったんですか?

野村 セ・リーグというよりは、俺が苦労して作った記録を簡単に破られたから、王とやりたかった。

 ライバルというのはありがたい。自分を強くして成長させてくれる。パ・リーグで何度も一番を取っても、野村監督にとっては一番ではなかったのである。同じリーグで王さんと野村さんのNo.1決定戦が見られたら、野球少年には夢のような時間だったと思う。