闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第14回)|インタビュー|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.01.11

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第14回)

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第14回)
07 運は自分で引き寄せる-才能を見つける経営者とは①

野村監督が、試合も使われず、テスト生のままクビになるかもしれなかったときの話である。

-テスト生で入団したときに、そもそも一軍選手にしようとは思われていなかったということですか?

野村 初めから戦力としては見られていなかった。その証拠に、鶴岡監督は来ていなかっただろうと言われて、そういえば監督の顔は見なかったなと。それでもうガッカリしてね。帰ろうと思ったんだよ。俺はブルペンキャッチャーするためにプロを志願したわけでないからな。でも帰れない理由が一つあったんだよ。プロに入ることに母親が大反対したんだよ。そんな田舎者は、華やかな世界に行って成功するわけがないから地道な道を行って、ちゃんと社会人野球受かってるんだから、その道を行けって母親が言ってたんだよな。母親の大反対を押し切ってプロに行ったもんだから、1年目でクビ宣告されて帰ったら、母親に「それ見たことか!」って言われるから、これは泣きつくしかないなと思って。試合に出てないのに何でクビなんですか、納得できませんって言ったんだよ。「ワシらの目を信じて、やり直しは早い方がいいから、19歳になったばかりだから、もうプロは諦めろ」って言われても、「俺は諦めきれない、嫌です。1試合でもいいから試合で使ってみて下さい。1回もキャッチャーやってないのに納得いきません」ってお願いした。でも今度は「今年は15人の新人が入って、会社の事情も分かって納得してくれ」と。それでも「嫌です」って言ったら、「お前しつこいな。お前みたいなのは初めてだ。毎年こうしてきているけど、みんな素直にお世話になりましたって帰っていったぞ」って言うんだよ。

 球団からすれば、監督は解雇対象の社員であり、それを拒むややこしい社員に映ったのだろう。

-それは監督の中で試合に出れば結果を残せるという自信があったからなのですか?

野村 自信なんかあるわけない。試合に使ってもらってもないのにクビっていうのに納得がいかない。それでマネージャーが部屋を出て行って、10分くらいして帰ってきた「よしわかった!もう1年面倒見てやる」って言われた。

 高卒だから、良い大学を出ていないから、無名だから・・・。皆、最初は無名である。どんなに才能があっても、努力をしても、土壌がなければ花は咲かないのである。

(次号へ続く)