大和ハウス工業の不正行為に厳しい処分が相次ぐ|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.02.01

大和ハウス工業の不正行為に厳しい処分が相次ぐ

大和ハウス工業の不正行為に厳しい処分が相次ぐ
大阪、兵庫に続き、徳島も入札参加資格を停止

 失態を繰り返す大手住宅メーカーに、重いペナルティが下された。昨年末、徳島県が、大和ハウス工業の入札参加資格を2カ月間、停止したと発表したのだ。
 今回の措置は、2年前に発覚した、関西2ヶ所の温泉施設を巡る景品表示法違反(優良誤認)を受けてのもの。同社は2016年8月から19年8月の3年間にわたり、「岩塩温泉りんくうの湯」(大阪府泉佐野市)と「岩塩温泉和らかの湯」(兵庫県尼崎市)で、工業用水を使っているにもかかわらず、天然温泉や温泉水の効能を謳って消費者を誘致。嘘が発覚し、消費者庁や大阪府などから、厳しい処分を受けた。事件自体、徳島県に直接関わる問題ではなかったものの、県は意図的に消費者を欺いた同社の行為を問題視し、厳しい対応が必要だと判断。今回の措置に至った。
 大和ハウス工業ではこのところ、耳を疑うような不祥事が続いている。中でも、2019年に発覚した中国企業による234億円もの巨額横領や、4000棟近い物件での建築基準法違反は、世間に大きな衝撃を与えた。また、350人もの社員が、国家資格である施工管理技士を不正に取得していたことが明らかになった際には、そのあまりの数の多さに、「会社主導の違法行為だ」という声が相次いだ。
 同社の悪質な行為を問題視する動きを見せているのは、徳島県に限ったことではない。先述した景品表示法違反をめぐっては、兵庫県でも同様に入札停止処分が下され(令和元年9月4日から2カ月間)、施工管理技士の不正取得については、合格の取り消しとともに、最長3年間、受験が禁止される処分が、国土交通省によって下された。
 大和ハウス工業と言えば、アメリカや中国、東南アジアなどでも不動産開発を行うグローバル企業だ。なぜ、そんな日本を代表する大企業で、これほど不祥事が相次いでいるのか?不祥事が発覚する度に、経営陣は顔を並べて「再発防止に努める」と謝罪を繰り返すが、改善は一向に見られない。住宅業界に詳しい専門家は、

「不正行為に対する感覚が、明らかに他とズレています。建築基準法違反は2000年から行われていたと言うし、施工管理技士の不正取得については、30年以上も前から横行していたそうです。歴代の経営陣が知らなかったはずがありません。そもそも、誰も是正しようとすらしてこなかったわけですから、異常だと言われても仕方ありませんよね」

と話す。
 不正行為に対する認識の低さは、経営陣の責任の取り方からも見て取れる。施工管理技士の不正取得が発覚した際の芳井敬一社長ら、経営陣への処分は、驚くべきことに「報酬の1割を3カ月間減らす」というものだった。業界の反応は「え、それだけ?」というものだった。もちろん、30年に及ぶ不正のすべての責任を、現経営陣だけに負わせるのはいかがなものかと思うが、それにしてもあまりにも軽い処分のように思えてならない。事の重大さを考えれば、もっと厳しい処分を受けるべきだったのではないか。
 大和ハウス工業は、自他ともに認める大企業だが、そのことがかえって、驕りや慢心につながっていたのではないだろうか?でなければ、平然と消費者を騙すような行為を、何度も繰り返すことなどないはずだ。一刻も早く、リーディングカンパニーとしての誇りを取り戻してもらいたいものだ。