レオパレス21、見えない出口|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
Pick Up

2021.03.08

レオパレス21、見えない出口

レオパレス21、見えない出口
予想した赤字幅が7カ月で5倍に膨らむ!

 アパートの施工不良問題の発覚を機に、極度の業績不振に陥っているレオパレス21(東京都中野)が、長いトンネルからなかなか抜け出せない。2月12日、2021年3月期連結決算の業績を下方修正し、最終利益が444億円の赤字になる見通しだと発表したのだ。昨年6月時点では、赤字幅は80億円になると発表していた。それが、わずか7カ月間で5倍以上に膨らんだ。業界関係者からは、同社の経営破綻を危惧する声が上がっている。
 なぜ短期間のうちに、業績がここまで悪化してしまったのか?その理由について同社は、

「コロナ禍で採用や異動を取りやめる企業が増えて、賃貸契約が減少した」

と説明している。まるで、新型コロナウイルスさえなければ、業績は当初の予想通りになっていたはずだと言っているようにも聞こえる。同社の説明に異を唱える関係者は多い。賃貸業界の動向に詳しいある専門家は、

「コロナの影響も少なからずあっただろうが、そうかといって業績悪化の理由をそれだけに押し付けてしまうのは、いくらなんでも無茶苦茶だ。根本的な原因は、会社ぐるみの不正で顧客が離れてしまったことではないのか?コロナに関係なく、まともな企業なら、レオパレスで部屋を借りようとはしないはずだ」

と指摘する。また、別の専門家は、

「結局のところ、同社はコロナを業績不振の言い訳に利用したに過ぎない。現に、他にもコロナの影響で業績が低迷している賃貸業者はたくさんある。しかし、どこもレオパレスほどひどい状況ではない。小手先でごまかそうとする体質は以前と何も変わっていない。経営再建どころの話ではない」

と手厳しい。
 今回の大幅赤字の結果、同社の自己資本比率は12月時点で-5.4%まで低下した。自己新本比率は経営の安定性を示す数字であり、40%を下回ると、数値が下がるに従い、倒産リスクが高くなると言われている。実際、東京証券取引所は、レオパレスは債務超過に陥ったとジャッジした。これに対し同社は、

「資産で負債を償却したことで、債務超過は解消した」

と、抵抗を見せる。もちろん、これは嘘ではないだろう。だが、この言葉を聞いても同社に対する不安はぬぐえない。それどころか、不安は募るばかりだ。
 結局のところ、同社が立ち直るためには管理物件の入居率の改善が不可欠だ。だが今のところ、その気配はまったくみえない。それどころか、損益分岐となる入居率80%を何度も下回り、その度に、自社の資産から持ち出しで、家主にサブリースで保証している家賃を支払い続けている。今のまま入居率が改善しなければ、頼みの綱の資産も、いずれ底を尽きるだろう。そうなればいよいよ経営破綻だ。もちろん、状況を改善するために、同社も手を尽くしてはいる。今春から、契約の更新時期を迎えるオーナーに対し、家賃の減額要請を行うという。だが、同社に騙されてきたオーナー達が、素直にこの要請を受け入れるとは考えにくい。おそらく、相当難航するのではないか。今まで散々甘い汁を吸ってきておきながら、いざ困ったら泣きつく、こんなことが許されるほど、世の中は甘くない。果たしてレオパレス21は復活することができるのか?今後の動向に注目したい。