コロナ禍を機に給湯器メーカートップの座を盤石にしたパロマG|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.10.03

コロナ禍を機に給湯器メーカートップの座を盤石にしたパロマG

コロナ禍を機に給湯器メーカートップの座を盤石にしたパロマG
利益率は対前年22.6%増の800億円を計上

 パロマグループ(愛知県名古屋市)がコロナ禍でも際立った強さを発揮している。「リフォーム産業新聞」の調査(住宅設備建材メーカー売上ランキング2022)で明らかになった。主要94社のうち70社の直近の業績が増収となったが、その中でも同社の好調ぶりは群を抜いている。ライバル2社(リンナイ、ノーリツ)との差は広がるばかりだ。

 ランキングで際立っているのが、約6750億円を売り上げて全体2位にランクインしたパロマグループ(愛知県名古屋市)の業績だ。売上高は前年度から約1960億円も増えた。全体1位で、約1兆4286億円を計上したLIXIL(東京都江東区)とはダブルススコア以上の差があるものの、対前年の増益率(+41%)と営業利益(約800億円)については、ともに同社を大きく上回った。利益面に関しては驚異的な数字だと言えるだろう。
 パロマグループはコロナ禍中も業績を落とすことなく、ずっと売上を伸ばし続けている。特にこの1年の活躍ぶりには、目を見張るものがある。なぜ、多くの住設メーカーが苦戦を強いられている中でも、同社は好調を維持し続けることができたのか?住宅業界に詳しい専門家は、次のように分析する。

「“巣ごもり需要”で給湯器の販売が伸びたことだが大きい。特にリフォーム市場で好調だったようだ。また、かねてよりグローバル展開を推し進めていたことも功を奏した。技術力に定評のある同社は、北米市場でも売上を伸ばした」

 同社と同じく、給湯器を主力とする他のメーカーの業績はどうか?まずはリンナイ(愛知県名古屋市)を見てみよう。同社もパロマ同様、コロナ禍の中でも売上を落とさなかった。直近の売上高は対前年6.3%増の約3662億円だった。一見、非常に好調なように見える。だが、売上は順調に伸びているものの、営業利益については359億円と、11.9%も減っている。その要因について同社は、

「部材供給の関係で国内市場が不調だったが、一方で海外市場が好調だったため、売上は伸びた。しかし、原材料価格や物流コストの高騰が重くのしかかり、営業利益を大きくお落とす結果になった」

と発表している。売上こそ伸びているものの、決して両手放しで喜べるような状態ではないようだ。
 ノーリツ(兵庫県神戸市)はどうか。同社はライバル2社と違い、厳しい状況に直面している。コロナ禍の影響で業績は大きく落ち込んだ。売上高は対前年3.1%減の約1781億円、営業利益は対前年47.5%減の25億円だった。特に後者の落ち込み具合は深刻で、今回掲載された主要94社の中でも群を抜いている。
 パロマグループとライバル2社の明暗を分けたのは海外市場での強さだろう。国内市場では三つ巴を演じることも多い3社だが、海外での知名度、実績に関しては、他社に先駆けてグローバル戦略を推し進めてきたパロマが抜きんでている。リンナイにしても、ノーリツにしても、コロナ禍で国内が苦戦する一方で、海外でそれなりに存在感を発揮してはいたものの、パロマのそれは両社をはるかに上回った。それがそのままコロナ禍中の業績にも表れた。ほんの2、3年前まで、パロマグループとリンナイの売上高の差は1000億円強だった。それが今回で3000億円以上にまで広がった。もはやパロマグループの給湯器メーカートップの座が揺らぐことはないだろう。