相続不動産相談所「節税におススメ!障がい者向けグループホーム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.09.10

相続不動産相談所「節税におススメ!障がい者向けグループホーム

相続不動産相談所「節税におススメ!障がい者向けグループホーム
相続税は空室が多いほど高くなる⁉

 賃貸経営による相続対策は有効な手段の一つだが、その効果は入居状況により大きく変わる。それは、相続税の減額率を決定する際に用いられる固定資産税が、空室が多いほど高く評価されるためだ。
古い物件を持つオーナーはよく、「設備や間取りが今の時代に合わない」「駅から遠い」ことなどを理由に、空室を放置しがちだ。しかし、これではせっかくの相続税対策もほとんど意味をなさなくなってしまう。普通に貸し出すのが難しいのであれば、用途変更をしてでも賃貸率を上げ、固定資産税の評価を下げなければならない。今回は、入居率の悪化したアパートを障がい者向けグループホームに転用する方法をご紹介する。

 グループホームと聞くと“高齢者の住まい”というイメージを抱きがちだが、障がい者を対象にしたものもある。しかし、高齢者向けが政府主導の施策で供給量を増やしてきたのに対して、障がい者向けは資金や人材不足で供給がまったく追いついておらず、足りていないのが現状だ。
 実際、世の中には体や心などに障害を持った人がどのくらいいるのか。厚生労働省が今年の4月に発表した調査によると、その数は約937万人。2013年の前回調査から約149万人も増加した。全人口に占める割合は、6.2%から7.4%にまで上昇した。この数は高齢者の要支援・介護者の数608万人(2015年時点)を大きく上回る。このままいけば、やがて10人に1人が障がい者の時代が来るかもしれないとさえ言われている。
 しかし、これだけの数の障碍者がいるにもかかわらず、環境の整備は進んでいない。例えば東京の大田区では、区内で生活する障がい者は約2万8000人いるが、グループホームの数はわずか257室しかない。東京都は全国の中でも特に状況が悪いとされるため、他府県においてはここまで極端に供給率が低くはならないものの、不足していることに変わりはない。こうした数字を見ただけでも、障がい者向けグループホームの将来性の高さをうかがい知ることができる。
 それでは、空室の増えたアパートをグループホームとして利用するにはどうすれば良いのか。まずは広さだが、利用する床の面積は100㎡以下に抑える必要がある。これを超える場合は、用途変更の確認申請手続きを行分ければならない。例えば100㎡をわずかに超えてしまうような場合は、収納スペースを閉じて使えないようにするなどして基準内で収めれば大丈夫だ。個室については7.43㎡以上で窓があり、扉にカギを取り付けることが義務付けられている。

 実際に「こだまのいえ」のブランド名で、入居率の低下したアパートや戸建住宅を転用してグループホームの運営を行っている(一社)障がい者自立支援サポートの村中信介理事に、事業性について聞いてみた。

-すでに計画中のものも含め、31棟の障がい者向けグループホームの運営に携わっている。

村中 直営1号店がオープンしたのは平成27年12月。倉庫付き住宅の2階部分を12万円で借り上げて、個室5室とLDKの間取りに改装して始めた。賃料は生活保護受給額が上限となる。この物件は3万円だ。利益率は決して高くないが、空室だらけでどうしようもない物件でも短期間で満室にできるので、相続対策としてはまずまずだろう。家賃は生活保護費の中から支払われるので滞納のリスクもない。

-入居募集はどうするのか。

村中 供給数が極端に少ないため、ポスティングや折り込みチラシをするだけですぐに満室になる。一度入居したらほとんど退去することがないので、安定性も抜群だ。今後は床面積100㎡の規制が200㎡まで引き上げられるらしいので、より多くの物件で事業ができるようになる。特に、全国至る所にあるL社のアパートはこの事業に適している。サービス管理責任者と物件を見つけてから3ヶ月程度で開業できる。

 アパート・マンションは、ただ持っているだけでは期待したような節税効果を得ることはできない。少しでも税負担を減らしたいのであれば、満室に向けた努力が必要だ。供給数が極端に不足している障がい者向けグループホームによる相続税対策を検討してみたい方は、お近くの全国優良リフォーム会員にご相談下さい。