闘将野村「新経営論」第26回|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2019.07.22

闘将野村「新経営論」第26回

闘将野村「新経営論」第26回
社員教育とプロ意識(前半)

 社員教育は経営者にとって一番頭の痛い問題である。当然、教育というくらいだから、「このようなやり方に変えたら契約が取れるよ」「効率を上げるには、システムを変えた方が良いよ」といった、具体的な解決策を学んでもらうことが理想だ。しかし、実際には残念な指導しかできていない会社は多い。「頑張ろうよ」「やる気だそうよ」と、食事会やイベントを開いてご機嫌を取る行為は、社内営業であり社員教育以前の問題である。
 何か足りていないのか?それはプロ意識である。お金をもらって仕事をする以上、どんな仕事でもプロでなければならない。
 
-これまで色々な選手を見てきたと思います。それこそ新庄剛選手がメジャーに行った時は、どういう気持ちだったのでしょうか。

野村 「バカかこいつは!」と思ったね。

一応フォローをしておきますが、決して悪口でなく野村節です。

-それでも、一年目は活躍しましたよね。

野村 あんなバカが通用するなんて思いもよらなかったけど。新庄はとにかく目立ちたがりだから。

-監督として一時期タイガースで一緒にやっておられましたが、プロの選手としてのセンスや素質はどうだったのでしょうか。

野村 そりゃ足は速いし、肩は強いから天性はすごいよ。頭はまるっきりアホや。

-やはり新庄選手は天才だったのでしょうか。

野村 投げる、走るはね。打つはダメだよ。最初に思ったのは「豚もおだてりゃ木に登る」っていう格言があるじゃん。新庄にはあれが浮かんだの。おだてて使うしかないから、「こうして打て」とか、指示は通じないなと感じた。新庄みたいな選手は珍しいね。命令や指示は新庄には通じない。失礼な言い方だけど、バカとしか言いようがない。おだてて使うしかなかったんだよ。

-それが上手くいったのですね。

野村 そうそうそう。そういう使い方したから、俺と合うと思ったんじゃない?

-使い方を見極めるって大事ですよね。

野村 そうだよ。

-中には、逆に厳しくする選手もいるわけですよね。

野村 聞く選手も聞かない選手もいるから色々だよ。

-それはすぐに見極められるものなのでしょうか。

野村 付き合ってりゃ分かるよ。

-ちゃんと、それぞれに合わせてやり方で使い分けをされてきたのですね。

野村 例えば、プロ野球選手にとって年明けの1ヶ月間の過ごし方はものすごく大事だから、そういった意味で二月のキャンプでミーティングするじゃん。ヤクルトの監督の時、ミーティングするとみんな一生懸命筆記するし聞いてる。でも同じようなことを同じように阪神のキャンプでやっても誰も聞いてない。

-ノートも持ってこないのですか。

野村 一応持ってるんだけど、手は動かないし聞いてないし、時計ばっかり見ている。ミーティング終わったら遊びに行くから誰もいない。キャンプなのに「何しに来てるんだ、こいつら!」ってなる。

(後半へ続く)