自然災害鑑定士に聞きました~火災保険の水災補償を使って自宅を修理~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.06.14

自然災害鑑定士に聞きました~火災保険の水災補償を使って自宅を修理~

自然災害鑑定士に聞きました~火災保険の水災補償を使って自宅を修理~
豪雨で河川が氾濫し、自宅が200万円相当の被害


 6月から9月にかけて起こる自然災害といえば水害です。豪雨や暴風雨、台風などによって引き起こされた洪水や高潮、土砂崩れなどで、家屋が被害を受けることも少なくありません。特にここ最近は、記録的な豪雨が多発しているため、常に万全の対策が求められます。
 ところでみなさんは、万が一ご自宅が水害被害を受けた場合の対策はどうされていますか?

「近くの河が氾濫して家の中が水浸しになった・・・」
「豪雨で雨漏りが発生して、家具が台無しになった・・・」

家の修理や掃除はもちろん、使えなくなった家電製品や家具の買換えだけでも相当な費用がかかりますが、そのための準備は万全でしょうか?今回は、火災保険の水災補償について、実例を交えてご紹介します。

「前日からの集中豪雨のせいでマンホールから水があふれ出し、家が床上まで浸水してしまった。しかし、火災保険のおかげでほとんど費用負担なく、もとの状態に戻すことができた」

 岐阜県に在住の大隅健也さん(46)は昨年、豪雨に伴う河川の氾濫によって、ご自宅が浸水被害を受けました。家の1階部分は全室が泥だらけの状態になり、家具や家電はすべて水浸し。電気やガスも使えなくなってしまいました。
 間もなくして、家の復旧に向けていろいろと準備を始めた大隅さん。家の中に溜まった泥の掻き出しの合間に、近くの工務店や電気店などに連絡をして、被害を受けた1階部分の工事を依頼。また、使えなくなった家具や家電の買換えのために、家から1時間ほどの場所にある大型家電量販店にも足を運びました。
 見積りの結果、1階部分の工事にかかる費用は総額150万円。水浸しになった床はいったん全部剥がして貼り換え、内装もすべて新しくすることになりました。一方、家電や家具はすべて買換えとなるとかなりの金額になることが予想されたため、冷蔵庫やテレビなど、生活に最低限必要なもの以外は、時期を見て段階的に買い揃えることにしました。それでも、約50万円の費用が必要でした。

「3カ月前に車を買い替えたばかりで、預金にそれほど余裕がありませんでした。それでどうしたものかと悩んでいたところ、工務店の方から保険会社に相談してみたらどうかとアドバイスを受けました」

 最初は何のことか分からなかった大隅さんでしたが、しばらくして何かを思い出し、2階の自室にしまってあったある書類を確認しました。それは、火災保険の契約書でした。

「すっかり忘れていたのですが、火災保険に水災補償が付帯していたのです。すぐに保険会社に電話して確認したところ、調査員の報告を受けてからでないと確実なことは言えないが、被害状況と契約内容によっては、今回かかるであろう費用はすべて保険金で賄うことができるかもしれないということでした」

 状況を見る限り、大隅さん宅の被害は間違いなく水災被害に当たります。問題は、それが保険の適用を受けられる条件を満たしているかという点でした。
 火災保険では通常、床下の浸水は保険の適用対象外になっていますが、大隅さん宅は1階部分の床上まで浸水したので保険金を受け取ることができます。また、家具・家電の被害についても、契約時に「家財」を適用対象にしていないと補償を受けることができませんが、こちらについても大隅さんは適用としていました。結果、大隅さんは修理や家具・家電の買換えにかかった費用約200万円を、全額保険金で賄うことができたそうです。

「今回は河川の氾濫ということで、近隣でも同じような被害が続出したため、比較的スムーズに手続きは済みました。仮に被害が雨漏りだけだったりすると、原因が建物の劣化など、他にあることもあるため、保険金が下りるかどうかのジャッジが出るまでに時間がかかることもあるようです」

 雨が多くなるこれからの時期。いつどこで、暴風雨や豪雨が発生するか分かりません。万が一の場合に備えて、みなさんも今のうち火災保険の見直しをされてみてはいかがでしょうか?ご相談はお近くの自然災害鑑定士まで。