どうなる大阪経済!プロフェッショナルの目!(全3回)|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.08.09

どうなる大阪経済!プロフェッショナルの目!(全3回)

どうなる大阪経済!プロフェッショナルの目!(全3回)
物件価格の値下がりはこれからか?

 終わりの見えないコロナ禍。東京オリンピック開催を前に宣言を解除した影響からか、感染者の数は減るどころか、再び増加し始めている。今後、日本の不動産市場はどうなっていくのか。今回も大阪で不動産事業を行うセンチュリー21・ワールドスタイル(大阪市北区)の柴田裕治社長にご登場いただき、大阪の経済および不動産市場の展望について語ってもらった。

-コロナ禍で不動産価格が下がるとする声が多かったですが、実際には期待ほど価格は下がっていません。

柴田 私も昨年の時点では、ある程度は下がるだろうと予想していました。しかし、蓋を開けてみれば、予想に反して価格にあまり動きは見られませんでした。ただ、そんな中でも夏から秋口にかけては、結構、不動産は動きました。

-不動産投資のプロほど買い時を見定めます。価格が下がらないとなれば、普通に考えれば市場は停滞するのではないのでしょうか。

柴田 市場が動いていたのは、普段、あまり不動産を買わない個人や中小企業が積極的だったからです。これは、政府の援助で、資金調達がしやすくなった影響だと考えられます。プロはどちらかというと、様子見という感じだったと思います。

-価格帯的にはどのクラスの物件がよく動いたのでしょうか。

柴田 買い手が個人・中小企業とういうことで、4000万~5000万円台の1棟ものがよく動いた印象です。

-なぜ、予想よりも不動産の価格が動いていないのでしょうか。

柴田 単純に、そこまでひっ迫した状況になっていないのと、ある程度市場が動いているため、多くの業者がまだ高く売れるだろうと考えているからだと思います。実際、すぐに現金が必要だからと価格を下げて売りに出されるような物件は、今のところ皆無です。

-今年に入ってからの動きはどうでしょうか。

柴田 最近になってようやく、中心地以外では少しずつ価格が下がり始めています。昨年は、緊急事態宣言の解除後に一時的に動きが活発になったので、今年もそうなるのではないかと予想しています。節税目的で不動産を買わなければならない方々は常に一定数いますから、市場がまったく動かなくなるということはまずありません。

-リスク分散のために、本業とは別に不動産投資をしようという方が増えているようです。物件を購入するにあたり、自己資金はどの程度準備しておく必要がありますか。

柴田 金融機関はどちらかというと不動産に融資に積極的です。ただし、求められる自己資金は、1割というところもありますが、2割くらいは見ておいた方が良いでしょう。5000万円の物件であれば1000万円の自己資金が必要になるわけですから、それなりにキャッシュに余裕のある投資家でないと、なかなか購入できないのが現実です。

-自社でも不動産投資を積極的に行われています。投資家の立場として、今の状況をどう見ていますか。

柴田 当社の場合は、コロナ禍とは関係なく、良いものがあればいつでも買おうというスタンスでいます。購入のポイントとしては、中長期で保有もでき、さらに客付けのしやすいものであるという2点を特に重視しています。エリアについては特にこだわりはありません。

-コロナ収束後に向けて、準備を進めていることはありますか。

柴田 当社の場合、市場が動いたときにすぐに動けるように、既存のクライアントとは絶えず連絡を取り合っていて、一方で市場調査についても継続的に行っています。機を見るに敏な投資家はたくさんいますので、そうした方々よりも早く、良い情報を入手できるかがこのビジネスにとって一番大事なことです。

-3回にわたり、貴重な意見をありがとうございました。まだまだコロナ禍の出口は見えませんが、今後もがんばってください。