闘将野村「弱小企業を一流へと導く新経営理論」(第30回)|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.07.04

闘将野村「弱小企業を一流へと導く新経営理論」(第30回)

闘将野村「弱小企業を一流へと導く新経営理論」(第30回)
13 仕事のできない経営者の選択肢②

野村 二軍のときにずっとネット裏から一軍の試合を見ていたんだよ。当時は真っ直ぐとカーブ、シュートの時代で、カーブが大きいとそれが打てなくて、お客さんにまで有名になっちゃって、「カーブの打てない野村♪」って、それぐらい変化球がダメで三球三振続けていたんだよ。それでもよく使ってくれていたけど、何で使ってくれていたかは分からないけど、何か将来が見えたのかな。自分で言うのもおかしいけど、こいつしっかりしているなってことは監督自身が感じていたのかな。

-そのカーブとかもいつくらいから順応するようになるんですか?

野村 業界でも悪い言葉なんだけど、山を張るっていうことは恥なんだよ。あのバッターはどんなバッターかと聞かれたときに、あいつは山張りだってバカにする言葉なんだよ。ストレートに合わせながら変化球に対応していく、そういう理想像があったんだよね。それをやっていたら三信ばかりして、変化球にからっきしついていけない。そこで自分で覚悟を決めたんだ。「こんなことしていたら、せっかく掴んだチャンスも逃がしちゃう」と思ってね。俺は山を張って生きる!そう決めたんだ。山張りと言われてもいい、バカにされてもいい、そう思って俺は山を張らないと変化球に対応していけないと。幸いにもキャッチャーだったからね。

 事業を始めてみたはいいけどうまくいかない。当初の自分が思い描いていた通りにならないということはよくある話である。
 野村監督は、今までに何度も口にしてきた。

野村 俺は才能がないから考えるしかなかったんだ。だからオールスターではほとんど打てなかった。なぜなら、セ・リーグのピッチャーはほとんど初めて見る選手だから打てないんだ。

 会社が赤字であるならば、次の方法を考えるしかない。いつまでも過去の栄光にすがっていても仕方がない。
 ときに見栄やプライドは、経営の邪魔になる。私はできない経営者だと言い聞かせることから始めると、意外と見えてくることもある。

(次号へ続く)