老朽化マンションの再生に向けた改正法が施行|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2026.04.06

老朽化マンションの再生に向けた改正法が施行

老朽化マンションの再生に向けた改正法が施行
重要事項等の決議要件が緩和

 4月から2026年度が始まったのに伴い、さまざまな法律が施行されました。「改正区分所有法」もその一つです。今後のマンション管理にどのような影響が出るのか解説します。

 「区分所有法」とは、マンション管理などについて定めた法律です。マンションの老朽化や住人の高齢化等、昨今のマンションを取り巻く環境の変化に伴い生じるさまざまな諸問題に対応し、マンションの管理や再生の円滑化を図ることを目的に、昨年5月に改正法が成立し、今年4月、新年度の開始に合わせて施行されました。主な改正ポイントは「管理の円滑化」「再生の円滑化」「管理体制の強化」の3点です。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきます。

①「管理の円滑化」

 特に1970年代から80年代にかけて建設されたマンションでは、住人の高齢化に伴う集会欠席者の増加で、マンション管理における重要な決議ができないという問題が生じるようになりました。この問題に対応するため、改正法は以下について緩和や新制度の導入が図られました。
まず集会決議を円滑に行えるようにするため、建て替えなどの処分を伴わない決議については、旧法で「議決権総数の半数以上」とされていた定足数を、集会に出席した区分所有者とその議決権の各過半数というふうに変更されました。これまでは欠席者は「反対」と見なされることが多く、そのため住人の高齢化に伴い、管理や修繕関連の意思決定がしにくくなる傾向がありましたが、今後は出席者だけで決議ができるので、スムーズに意思決定ができるようになります。
 また他人の権利侵害の恐れがない場合や、バリアフリー化等の改修においても意思決定の迅速化が図られ、従来は「4分の3以上」としていた賛成要件が「3分の2以上」に変更されました。さらに所在不明の区分所有者については、決議の分母から除外して決議が行えるようになります。

②「再生の円滑化」

 マンションは老朽化に伴い安全性や快適性が損なわれるため、定期的な改修工事などが不可欠です。しかし旧法は、建て替えやそれに準ずる改修工事に関しては、区分所有者の「5分の4以上の賛成が必要」としていたため、実現が困難でした。改正法はこの点に関して円滑化を図るため、現行規定とは別に、耐震改修や災害対策、共用部のバリアフリー化といった現代の暮らしに不可欠な改修工事に関しては、多数決割合を「4分の3以上」とする制度を新たに導入しました。
 また、建て替え以外の再生手法、具体的には一棟リノベーションや建物敷地の売却等については、旧法は「区分所有者全員の同意が必要」としていたため実質的にほとんど実現不可能な状態にありましたが、改正法は「4分の3以上」と緩和したため、実現可能なマンション再生の選択肢が増えました。今後、どれだけ再生を実行するマンションが増えるか、注目したいところです。

③管理体制の強化

 ここで一番注目されるのは、財産管理に関して新たな制度が創設された点です。旧法ではマンションが管理不全に陥った場合のルールが曖昧で、実際にそうした状況になったときに状況改善に向けた対策が円滑に行えないといった問題が生じていました。新制度は速やかに状況を改善できるように、管理が十分でないと判断され申し立てがあった場合は、裁判所が財産の管理・処分を行う管理人(弁護士や司法書士などの第三者)を選任できるようにしました。ただし、管理人がすべての管理・処分をできるわけではなく、占有・共有部分の処分には、区分所有者の同意が必要です。
 また、管理不全だと判断される専有部分、例えばゴミ屋敷化した住戸や共有部分に放置された危険物や悪臭を放つゴミ等は、旧法では所有者の許可なしに撤去や移動させることはできませんでしたが、管理不全だと判断できる場合は、マンション自体が管理不全になった場合と同様、裁判所が選任した管理人が管理できるようになりました。マンション内の治安維持という点で、この改正はかなり重要なポイントだと言えそうです。

 以上、3つの大きなポイントについてまとめました。とりわけ目立つのはマンションの再生に関する改正で、今後は全国に数多ある老朽化したマンションがどのように再生されていくか、ぜひ注目したいところです。区分所有であるが故の難しさも、これで少しは解消されるのではないでしょうか。