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2016.09.07

住宅の購入・リフォーム するなら今がお得?!

住宅の購入・リフォーム するなら今がお得?!
〜平成27および28年度税制改正「住宅減税」活用法❷(後編)〜

 リオオリンピックでのメダルラッシュで日本中が歓喜に沸く中、〝消費税率10%へ引き上げ延期〟については、すでに記憶に薄くなってきた方も多いのではないでしょうか。
 とはいえ、延期発表から3ヶ月、軽減税率の取扱いも含めた来年度の税制改正が気になる今日この頃ではあります。これにつきましては、折に触れご説明できればと思いますが、まずは、前号の続きとしまして、五つのポイントのうち、まだ触れていない残りの④~⑤について触れたいと思います。


平成27年および28年度改正で押さえておくべきポイント五つ

①平成29年4月1日から消費税が10%に増税
〔注〕平成31年10月までに延期発表

②住宅取得資金等にかかる贈与税の非課税措置の延長・拡充

③住宅ローン減税(リフォーム含む)の延長・拡充

④3世代同居向けにリフォーム減税を創設

⑤相続した古い空き家を売るときの税金を軽減



◆まず、四つ目の「3世代同居向けリフォーム減税の創設」ですが、3世代で同居するためにリフォームする場合、所得税が減税される制度で、3世代で同居すれば子育てしやすくなり、「希望出生率1・8」の実現につながるという観点からの改正です。具体的には、台所・浴室・トイレ又は玄関、のいずれか2か所以上をリフォームする場合、最大25万円の所得税の減税を受けることができます。ローンを組む場合は年末ローン残高(上限250万円)の2%が5年間、現金で支払う場合は標準的な工事費用相当額(上限250万円)の10%が所得税から減額されます。また、リフォームをローンで実施する場合には、その他の改修も含めて年末ローン残高1000万円を限度に所得税の減税が受けられることになります(適用要件の詳細は確認が必要です)。
 既にある実家などをリフォームして住宅ローン減税を受けるか、新たに物件を購入して通常の住宅ローン減税を受けるか、ここは検討することになりそうですね。
 適用対象期間は、平成28年4月1日から平成31年6月30日までとなっています。


◆次に、五つ目の「相続した古い空き家を売るときの税金の軽減」について。
 これは、空き家の発生を抑制し、地域住民の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、被相続人の住んでいた家屋を相続した相続人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間にその家屋(その敷地を含む)、又は除却後の土地を相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3000万円を控除することができる制度です(適用要件の詳細は確認が必要です)。
 これまで、3000万円控除は自宅を売るときにしか認められていなかったので売るに売れないケースが多かったようですが、改正後は、空き家を売っても譲渡所得の税率が20・315%の場合、最大で約600万円の税負担を軽減できるということになり、かなりお得ですよね。
 ただし、注意したいのは、空き家付きで売却する場合〝耐震リフォームした場合に限られる〟ということ。従来なら、古い空き家をわざわざ耐震リフォームしてから売るよりも更地にして売却した方が賢明だと言われていました。しかし、古い物件こそ日本らしさが備わっていたりするもの。昨年くらいから高まっている海外からのインバウンド効果を下支えする民泊需要への供給や、空きの別荘等を利用して短期的に第三者へ貸出す業者への転売等今後は有効な売却方法も考えられるのではないでしょうか。
 また、相続税の負担が大きな方は「相続税の取得費加算の特例」を活用した方が税負担を軽減できるかもしれませんので、そちらとも比較衡量してみてください。

◆その他減税以外で購入者の強い味方となるのは、
◎住宅ローン金利が最低水準
◎すまい給付金の存在
でしょう。
 住宅ローン金利も日銀のマイナス金利導入の影響で急低下しています。たとえば、ローン利息が0・65%の方であれば、所得税のローン控除1%からすると支払った利息よりも所得税の控除額の方が多く、逆ザヤになるというオイシイ状況になりますね。今のローン利息が高い方は、住宅ローンの借り換えを検討してみても良いかもしれません。
 また、すまい給付金は、年収に応じて国からもらえるお金のことで、一定の要件のもと、最大50万円も給付されます。これらをうまく上記減税制度と組み合わせて利用できれば、住宅購入等に係る税負担の軽減(補てん)に繋がるのではないかと思います。


◆他に、海外赴任中でも日本で家を買うと住宅ローン控除が適用可能になったり、各種税金の軽減特例を2年延長したりと改正内容は盛りだくさんです。これを機に、活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

 オリンピックもいよいよリオから東京へバトンが託されました。
 前号の冒頭に触れた東京オリンピックの公式エンブレムには、市松模様と藍色で日本らしさを表現し、形の異なる3種類の四角形の組み合わせで表現した「多様性と調和」というメッセージが込められているそうです。
 住宅関連税制も、国民の生活の多様性を認め、生活と経済効果の調和の取れた改正を今後も実現していってほしいものですね。
東山純子

みのり税理士法人東京事務所 所長

・2015年税理士登録、東京税理士会所属
・国税庁、国税局、税務署に勤務し、課税・訟務(審理)・人事等幅広い業務に従事
・退職後、経営コンサルタント会社設立
・主に海外進出企業支援のためのコーディネート、人材育成支援に努める
・「組織は人」をモットーに、企業研修等各種セミナー講師も担当
・現在、みのり税理士法人東京事務所 所長