物価を上げたければ、金利を上げろ!|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
NEW

2016.11.15

物価を上げたければ、金利を上げろ!

物価を上げたければ、金利を上げろ!
~なぜ、景気は低迷するのか? 日本成熟時代の需要をどのように作り出すか?~

 2013年の異次元金融緩和から長短金利操作付き量的・質的金融緩和への政策転換を決定したのだが、市場に対しての影響力は殆どなかったといえる。
 日銀のおこなってきた量的緩和は、低金利によって企業や家計のインフレを起こさせ物価上昇をさせる狙いがあった。
 長期国債50兆円の買い入れや、ETF(上場投資信託)の購入増額、長期国債買い入れ額の80兆円の拡大、マイナス金利…なぜ、結果が出ないのか?
 それは、成長期の日本と成熟時の日本の差にある。
 現在の政策は金持ち優遇策であるからだ。金利が安くなる事によって企業は借入をしやすくなるが、この需要低迷期に設備投資をしようと考える経営者は少ない。
 できるなら、先を見越してリストラを考えたいと思う企業もあるだろう。
 では、物価を引き上げる側の消費者はどうだろうか?
 安い金利になってもそのお金は、地元の商店や消費者が低金利で借りられる訳ではない。
 日銀とすれば、金利を安くすれば、住宅や車等の高額消費に資金が回るのかという思惑もあっただろうが、戸建ての着工件数は、平成25年98万7千戸、平成26年88万戸、平成27年92万1千戸とほぼ横ばいであり、効果が出ていない。
 現在の日本が既に成熟しており、住宅市場の供給過剰な中そこに対しての消費者のニーズがないことが上げられる。
 現在の大企業優遇策から、消費者優遇策に軸足を移せば物価は上がる。


 消費者は、将来に対する展望が見えてこなければ、消費行動には移らないでお金を貯めこみ節約という方向に向かってしまう。
 現在の様な成熟した国においては、昔の様な衣・食・住への投資対象では物価は上がらない。ポイントは、今財布の堅い消費者に如何にして贅沢品を買ってもらうかである。
 例えば40代の貯蓄の中央値は約600万円。金利を上げる事によって、金融商品の利息が20万円増えたらどうなるだろうか?
 中小企業には、高くなった金利分の一部負担を国ですればよいのである。
 それで、中小企業の投資意欲は損なわれず、利息を狙った商品・サービスの需要が見込める為、個人商店も中小企業も活気づくのである。
 現在までの大企業優遇策が消費の底上げをする時代は終わった。
 消費者のニーズが、十人十色であるため、今までの様に大量生産・大量消費という事がないからである。
 高額納税者ではなく、一般消費者の所得を増やす事によって、企業も現在の低価格のスパイラルから脱出でき、差別化商品(高額帯の商品)が売れるのである。
 トップからではなく、ボトムからの経済対策も考えて頂きたいと思う。