田原総一朗 時代を読む|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
おすすめ

2016.11.16

田原総一朗 時代を読む

田原総一朗 時代を読む
インタビュー
田原総一朗 時代を読む

─ 聞き手:住生活新聞記者 ─

 
「朝まで生テレビ!」の司会をはじめ、フリージャーナリストとしてさまざまなメディアで活躍している田原総一朗さん。歯に衣着せぬ鋭い論評には定評があり、この「住生活新聞」の読者の間でも高い人気を誇っている。

 御年82歳と、自分の父親よりも年上の男性、しかも「生テレビ!」で海千山千の論客たちに鋭く切り込んできた、あの田原さんに前回より若きベンチャービジネスの経営者のお話や誠実さ、信用が一番大事とのお話を頂いたインタビューのつづき…。


─欠陥住宅を建築するといった住宅業界の誠実を欠いたような出来事が起こると、住宅業界全体が疑わしいんじゃないかと信用を失うことになるとお話頂きましたが、他にも「誠実さが足りない」と感じる事例はありますか?
 三菱自動車の燃費データ不正の問題もそうだし、東芝の社長三代にわたる粉飾決算もそう……たくさんあるよね。

─意外と大手企業に多いんですね。
 それは、大手企業になるほどマスコミで大きく取り上げられるから。中小企業だったら、問題が起きてもそんなに大きく取り上げられない。
(こちらの質問に対して、ズバズバと明快に答えてくださる田原さん。もっと田原さんの言葉を聞いてみたくて、さらに質問を続けていく)

─他に、経営者として大切なことは何でしょうか。
 「危機こそチャンスだ」ともよく言われます。これはダイエーの中内功さんがよく言ってた言葉だけど…ほら、漢字で「危機」と書いてみて。
(と、またもメモを取る私に振ってくださった田原さん。言われた通りに、ノートに「危機」と書くと、それを見てこう続けた)
 この「危機」の「機」は「チャンス」という意味でしょう。危機をいかにチャンスにできるか、が大切なんです。
 松下幸之助さんも言ってました。「非常に困難な状況にぶつかったときに、それを面白がれるかどうか。前向きに取り組めるかどうか」だと。前向きに取り組めば問題は解決するものだけど、実際には、困難な状況に陥ると悲観的にとらえてしまう人が多い。「円高になって、もうダメだ」「株で損して、もうダメだ」とか。

─確かに、悲観的になる人が多いような気がします。
 マスコミが悲観的なことを報道するからね。原発問題や円高不況、「もうアベノミスクは限界だ」とか。マスコミは悲観的なものを書くことを商売にしているし、人々も悲観的な記事だから読もうとする。だから、マスコミの情報に乗っかりすぎると、企業はうまく立ちいかなくなる。
 組織の上にいる経営者が悲観的になると、下にいる社員たちも悲観的になってしまう。困難な状況にぶつかったときに、上にいる人間がいかに面白がることができるか、ということが大事なんです。

─まだまだ興趣が尽きない田原さんへのインタビューは次号へつづきます─
田原 総一朗

1934年滋賀県彦根市生まれ
早稲田大学文学部卒業
ジャーナリスト。
東京12チャンネル(現・テレビ東京)ディレクターを経てフリーに。
「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」出演をはじめ、独自の視点で政治・経済の問題に切り込む姿は、他の追随を許さない。『安倍政権への遺言~首相、これだけは言いたい』(朝日新聞出版)、『トットちゃんとソウくんの戦争』(共著/講談社)など著書多数。