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豆知識

2017.10.10

100名超のオーナーがレオパレス21と集団訴訟

100名超のオーナーがレオパレス21と集団訴訟
アパートメーカー大手のレオパレス21(東京都中野区)が100名を超えるオーナーから集団訴訟を起こされ、大きな話題になっています。他のサブリース事業者と家主との関係にも影響を及ぼす可能性があるだけに、今後の動向が注目されます。
総額4億7000万円の返還を求める

 レオパレス21が管理する賃貸管住宅の数は全国で約56万戸と言われています。オーナーの数は約5万人で、その中の一部によって組織されているLPオーナー会によって集団訴訟が起こされました。レオパレス21のビジネスモデルは、土地の所有者に対して、「建築後の家賃は入居者の有無に限らずうちが保証しますから、アパートを建てて下さい」というものです。家賃保証やサブリースと呼ばれる仕組みをウリにしてアパートの建築を受注し、業績や管理戸数を伸ばしてきました。
 今回の裁判で原告側は、レオパレス21とサブリース契約を結んでいるオーナーが、「家具・家電総合メンテナンスサービス」のために支払ってきた費用相当金額の返還を求めています。これはオーナーが費用負担してレオパレス21からレンタルした家具・家電を、7~14年が経過後、レオパレス21の負担で新品に交換してくれるというものです。レンタル料は毎月オーナーに支払われる家賃から、1戸当たり2000円天引きされるそうです。サービスの内容通り、時間の経過に合わせて家具・家電の交換がなされていれば、今回のような集団訴訟はなかったかもしれません。しかし実際は、新品への入れ替えが実施されず、それに対してオーナーが再三再四対応を要請したにもかかわらず、状況が改善されなかったため、今回の事態にまで発展してしまいました。請求金額は総額4億7000万円にも及ぶそうです。サブリース問題に詳しい弁護士は、「似たような境遇のオーナーは他にもいると予測されることから、裁判の動向次第で、レンタル料の返還を求める声が増えるかも知れません」と推測しています。
 さて今回、100名を超える勇気あるオーナー達によって大手サブリース会社が訴えられるという、前代未聞の事態が引き起こされました。過去にはサブリース会社とオーナーとの間で、契約内容を巡って訴訟が起こされるケースはいくつかありましたが、これほど大規模な訴訟は初のことです。サブリースの是非が問われかねない事案だけに、必然的に業界関係者の関心は高まっています。

専門家を交えた契約内容の確認が重要

サブリース契約を巡ってはこれまでも、一方的な家賃の減額や契約解除によって多くのトラブルが引き起こされてきました。しかし、訴訟にまで発展したケースはほんの一部で、ほとんどの場合、オーナーは泣き寝入りしてきたようです。「減額されても家賃が入ってくるだけマシ」「減額を受け入れずに契約解除されたら、入居者がほとんどいないので家賃収入がなくなってしまう」など、現実問題を考えれば、訴えたくても訴えられないのが実情なのです。もちろん、サブリースそのものを否定するわけではありません。物件が遠方にあったり、あるいは本業が忙しくて賃貸経営にまで手が回らない方などにとっては、非常に便利な仕組みだと思います。大切なのはどんなサブリース事業者とどういう内容の契約を結ぶかです。レオパレス21の例を見ても、資本力のある大手だから安心だということはありません。契約内容が心配だという方は、事前に専門家に相談することをお勧めします。