賢い施主になるための7つのポイント【前編】|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.02.05

賢い施主になるための7つのポイント【前編】

賢い施主になるための7つのポイント【前編】
良い工務店の選び方とは?


 ハウスメーカーで建てるか、それとも地元の工務店で建てるか、はじめて家を建てる方は、悩まれるのではないでしょうか?リフォームについても同様です。最近では、人口の減少にともない、新規に住宅を建てる世帯の数は減少しており、これまでは新築中心であったハウスメーカーもリフォームに参入してきています。
 企業としての安定性や万が一のことが合った場合の対応など、安心感があるのはハウスメーカーかもしれません。しかし、全国ネットでの広告や住宅展示場などのコストは、当然のことながら住宅価格の中に含まれており、これらは実質的に家を建てる方が負担していることになります。

 地元の工務店であれば、こうしたコストは少なくすみますし、地域に密着して経営いることから、地元の情報も知り尽くした上での提案を期待することができます。
 例えば、防犯対策がその一つ。近隣に公園やコンビニがある立地は、一般的に住環境がよいとされています。しかし、その一方でデメリットもあります。不特定多数の見ず知らずの人間が、誰にも怪しまれること無く出入りすることができるという点です。例えば、公園でくつろいでいるように見せて、実は家族の帰宅時間や就寝時間を確認し、犯行に至るケースもあります。
 近隣で住宅への侵入事例がないかといった情報については、地域密着型の工務店でないとなかなか把握することは難しいと言えます。かといって、地元の工務店の中からどこを選んだらいいか、なかなかわかりにくいのが現状です。そこで、今回から2回に分けて「よい工務店の選び方とは?」について、誰でも活用できる7つのポイントをご紹介します。

【1】契約を急がせないか?

 契約を急がせる営業担当者には、自らの業績を早く確定させて次の受注に向けて動きたいという心理がはたらいています。そのようなケースでは、建物の仕様が詳細まで確定していない段階で契約してしまい、後から必要となる資金が発生して、住宅ローンなどの資金計画に影響が出てしまうことがあります。
 本当に施主の立場に立った営業担当であれば、「住宅の仕様までしっかり確定させてから契約しましょう」と言ってくれます。場合によっては、「今すぐに建築するよりも、もう少し自己資金が貯まってから検討した方が。」とまで言ってくれるような営業担当こそ、真に施主の立場にたったアドバイスと言えるでしょう。
 契約を急がせていないかという視点で、自社の利益よりも自分たちのメリットを優先してくれているかどうかを見極めることが非常に重要です。

【2】他社と比較する基準を教えてくれるか?

 よい工務店は、自分たちのやっている仕事に自信と誇りをもっているので、もし自分たちよりも優れた住宅会社があれば、そこで建ててもらった方が施主のためになると考え、他社と比較するための客観的な基準を教えてくれます。
 例えば、耐震性能の一つの目安となるのが「直下率」。「直下率」とは、2階の柱や耐力壁のうち、その真下にあたる1階にも柱や耐力壁がある割合のことです。この比率が大きいほど耐震性が高いとされ、在来工法であればどのような構造でも同じ基準で比較することができます。
 よい工務店は、「どうぞ比較してください」「この基準で比較してみて、当社よりもよい工務店があれば、どうぞそちらで建ててください」という意識をもっているのです。
これとは逆に、他社との比較をしにくい、独自の名称がついた工法を売り込んでくる営業担当がいるかもしれません。「当社独自の工法を採用しているので、安心です。」と言われても、施主にとってはどう比較してよいのか分かりませんので、これは顧客の立場に立った提案とはいえません。
 「他の住宅会社も検討しているのですが、どう比較したら良いか教えてください。」という質問を投げかけて、明快な答えがあるかどうか、確認してみましょう。

【3】家族のことを詳しく聞いてくれるか?

 施主のことを考えない工務店は、「仕様」を早く決めたがります。「仕様」というのは、注文住宅であればどのような間取りにするか、リフォームであればどの設備を導入するかといったことです。
 当然のことながら、家づくりに関して、施主は素人です。よい工務店は、家族の趣味やライフスタイルを聞いて、施主が思いつかなかったような解決策をプロとして提案してくれるものです。
 例えば、夕食やその後の時間をいつも家族一緒に過ごしているという家族の場合は、「子供部屋や寝室を充実させるよりも、リビングダイニングを広めにとって、食後の勉強や読書も一緒に過ごせるように、スペースや本棚などの収納を充実させましょう」といった提案をしてくれたりします。また、外でバーベキューをするのが好きなアウトドア派の家族には、「キッチンやダイニングとつながったウッドデッキを設置して、外で食事するペースをつくりましょうか。」という提案をしてくれるかもしれません。

 最初の打ち合わせのときに、いきなり「どんな間取りにしましょうか?」「どんな設備にしますか?」という営業担当には、ちょっと注意したほうがよいと考えましょう。

【4】最新知識にもとづく提案をしてくれるか?

 住宅では、家電製品など常に最新の技術も取り入れられるように、配慮しておく必要があります。
 例えば、コンセントについて考えると、家族一人あたりが使用する数は年を追うごとに急増していますし、使用する場所や設置する高さも、時代とともに変わってきています。寝るまでの時間をベッドで過ごしながらスマホを見ている方は、そのまま充電して寝たいと思う方も多いと思います。そんな時、ベッドの枕元に人数分のコンセントがないと不便ですよね。

 また、最近では「お掃除ロボット」を使用する家庭も多くなっています。「お掃除ロボット」は、掃除が終わると自動的に充電ドックに戻ってくるのですが、廊下などに設置すると邪魔になることもあります。かといって、家具の隙間などに設置すると、その位置をセンサーが検知できずに、充電ドックまで戻ってくれないということも起こります。
そこで、気の利いた工務店はこうした情報を入手し、赤外線通信の信号がとどきやすい場所にある収納棚の下部などを利用して充電ドックのスペースを作り、その奥にコンセントまで付けてくれるというサービスをしてくれたりします。
 新しい住宅が建ったら、「こんな生活をしてみたい」「こんな設備を導入したい」といったことを工務店に相談してみましょう。的確な提案が返ってくるかで、一緒に家づくりをするパートナーとして、ふさわしいかを判断することができます。
(次回、後編へつづく)
賢い施主になるための7つのポイント【前編】