相続不動産相談所「空室を猫専用ホテルにして相続対策」|投資・資産運用|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.06.18

相続不動産相談所「空室を猫専用ホテルにして相続対策」

相続不動産相談所「空室を猫専用ホテルにして相続対策」
収入は賃貸時の2倍

 賃貸経営は相続税対策に効果的な手法ですが、空室だらけの状態では最大限の節税効果を得ることはできません。今回は築年数が経過した物件で、猫専用ホテルを運営する事例をご紹介します。

 (一社)ペットフード協会の調べによると、2017年の猫飼育頭数の全国合計は952万6000頭。直近3年間は微増を続けていて、若干の減少となった犬の頭数を上回る結果となりました。高齢化に伴い独居老人が増えたことや少子高齢化が、猫の飼育率の上昇に影響を与えているようです。
 ここに目を付けて、アパートやマンションの空室を猫専用ホテルとして利用している業者が神奈川県にあります。ホテル名は「ねこべや」。現在、直営とフランチャイズ店を合わせ、合計12カ所で猫専用ホテルを運営しています。ほとんどが空室を利用したものだそうです。
 一般的なペット専用ホテルは、預かった猫や犬を個別にゲージ入れて預かります。一方「ねこべや」は、4~6畳の部屋に猫を放し飼いします。設備や内装を整えるのに高額な投資はいらず、用意するのはキャットウォークやステップ、休むためのソファなどだけ。改装にかかる費用は一部屋当たりわずか5万円程度だそうです。実は、猫のように常に動き回る動物は、狭いゲージの中に閉じ込めておくとストレスが溜まり、1週間もすると体調不良になってしまのだそうです。これでは飼い主から大目玉を食らってしまいます。「ねこべや」は猫の健康を第一に考え、ストレスがかからない自由に飛び回れる環境を整えているのです。「壁紙やフローリングが傷んだりしないか」と心配される方もおられると思いますが、ストレスのかからない環境が整っていれば、そうした心配はほとんどしなくて済むそうです。臭いについても、定期的に消臭したり掃除をしておけば気になりません。
 「ねこべや」の場合、利用料は猫1匹につき6000円/日です。実はこの値段、ゲージで預かる一般的なペットホテルの3倍に相当するそうです。「そんなに高くて利用する人はいるのか?」と思われる方もいるかと思いますが、ペットの健康を最優先に感がる人が多いようで、ほぼ満室で稼働しているそうです。特に多いのは海外旅行で1週間程度家を空けるという方々だそうです。例えば1Kの部屋を猫専用ホテルとして利用した場合、週5日の稼働で月商は12万円となります。普通に賃貸すると、おそらく6万円取れれば良い方でしょうから、収益率は2倍になります。2DKの物件であれば、1ヶ月の売り上げは24万円にもなります。
 利用者はホームページやSNSなどで集めるため、広告宣伝費などはほとんどかかりません。FACEBOOKやtwitterなどを上手に活用すれば、すぐに口コミで広がるそうです。
 預かり期間中の主な仕事は、餌やトイレ掃除、爪切りなど。たまに遊んであげると、猫もなつくそうです。犬のように1日に1、2回散歩させてやる必要はありません。エサやトイレは、普段から使い慣れているものを利用者に用意してもらうそうです。
 また、大掛かりな改装が必要ないため、一時的な運用にも適しています。例えば繁忙期に入居が決まらなかった場合、翌年まで空室のまま放置しておくよりも、半年ないし1年間、猫専用ホテルとして運用した方がはるかに得です。もちろん、賃貸物件だけでなく、自宅の空き部屋を利用して行うこともできます。