知らないと損する助成金講座「地震対策のブロック塀補修」|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.08.13

知らないと損する助成金講座「地震対策のブロック塀補修」

知らないと損する助成金講座「地震対策のブロック塀補修」
本当に安全?ご自宅のブロック塀に潜む倒壊リスク 

 6月18日午前7時58分、大阪北部を震源とした地震が発生しました。大阪市北区をはじめ、高槻市や茨木市、箕面市、枚方市などでは震度6を計測。大阪府で震度6以上の揺れを記録したのは、1923年の観測開始以来、初めてのことだったそうです。
 今回の地震では、2府5県で重傷者15名を含む434名の負傷者と、4名の死者が出ました。中でも、高槻市にある寿栄小学校のプール沿いのブロック塀が倒れ、登校途中の児童が下敷きとなって死亡した痛ましい事故は大きく報道されました。
 倒れたブロック塀は、建築基準法に定められている2.2mという基準を大きく上回る3.5mもの高さがあったうえ、1.2m以上のブロック塀に設置が義務付けられている控壁がありませんでした。おまけに過去に専門家から危険性を指摘されていたにもかかわらず、市は何の対策も講じていなかったそうです。こうした危機意識の低さが、事故の一因になったことは否めません。
 ただし、基準を満たしているからと言って、それがそのまま安全に直結するわけではありません。実際、今回の地震では、事故があったブロック塀以外にも、亀裂が入ったり、一部が破損した塀がいくつか確認されています。

「うちの塀は低いから大丈夫」
「まだ新しいし、壊れる心配はないんじゃない」

などと高をくくっていると、有事の際にとんでもないしっぺ返しを食うことになるかもしれません。もしも対策を怠って事故が発生したら、その責任は当然ながら建物の所有者になります。ご自宅やお持ちのアパート・マンションの敷地を囲う塀は本当に安全でしょうか。今一度、確認してみることをお勧めします。

改修工事に助成金を活用

 ところでみなさんは、倒壊の危険性があるブロック塀の撤去や改修に、補助金が利用できるのをご存知でしょうか。ブロック塀の新設・改修工事は重労働なため、想像以上にお金がかかります。高さや長さによっては、数十万円かかることも珍しくありません。しかし、いつ起こるかも分からない地震に備えるために、多額の費用を用意するのはやはりためらわれます。補助制度を利用すれば、全額とはいかないまでも、自己負担をだいぶ抑えることができます。内容や条件は自治体ごと異なりますので、まずはお住まいの地域の制度について調べてみましょう。
 例えば大阪市では、今回の地震発生を受けて、7月に新たな補助制度の受付を開始しました。道路に面した高さ80㎝以上のブロック塀が対象で、建築基準法に合致しているものも含め、撤去の場合で15万円、軽量フェンスなどを新設する場合で25万円をそれぞれ上限とし、設置工事費の50%が補助されます。市は年間100件程度の申請を見込んでいるそうですが、地震があった直後ということもあり、「すでに予測を上回る数の問い合わせが来ている」(担当者)ということです。
 また、緑化関連の助成制度を利用して、塀を新設・補修する方法もあります。これは、緑のあるまちづくりを推進するための制度で、全国の自治体で実施されています。既存のブロック塀を撤去して生垣に作り変える際にも利用できるので、地震対策としてだけでなく、建物のイメージを一新したい場合にもお勧めです。限度額や利用条件は自治体によって異なるので、一度チェックしてみて下さい。墨田区に住むAさんは、2年前に同区の「緑のへい助成制度」を利用してブロック塀の撤去と生垣の新設工事を行ったそうですが、その際に約25万円が助成金として支給されたそうです。
 巨大地震の発生は、刻一刻と迫っていると言われています。地震とはあまり縁のなかった地域でさえも、安心はできません。今回ご紹介した制度以外にも、塀の新設・補修に利用できる補助金や助成制度はいろいろありますので、ご興味のある方は、一度お近くの全国優良リフォーム会員に相談してみてはいかがでしょうか。