相続不動産相談所「「相続」を「争続」にしない生命保険の上手な使い方」|相続|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.12.24

相続不動産相談所「「相続」を「争続」にしない生命保険の上手な使い方」

相続不動産相談所「「相続」を「争続」にしない生命保険の上手な使い方」
分割でしづらい不動産は争いのもと

 相続が発生した際に、財産が不動産に偏っていたために「兄弟間で揉めた」「納税資金が準備できなくて困った」という話はよく耳にします。今回はこうした事態を防ぐこともできる生命保険を活用した相続対策について、専門家に話を聞きました。
 世の中には多くの資産家がいますが、現金をたくさん持っているという方は意外と少ないそうです。そのため、相続をスムーズに行うために、生前からきちんとした準備をしておく必要があります。
 相続時のトラブルで最も多いのは相続人同士によるトラブル、いわゆる「争続」です。相続財産の大半が現金であれば、分割しやすいのであまり争いになることはありませんが、正確に分けることが難しい不動産の割合が多い場合は、それぞれの取り分を巡って争いに発展するケースが珍しくありません。
 相続不動産が更地であれば、均等に分割して相続することもできなくはありませんが、小分けにしてしまうことで逆に活用の道が閉ざされてしまい、利用価値がなくなってしまう可能性があります。また、すでに建物が建ってしまっている場合は、当然ながら分割することはできません。こうした場合、誰か一人が不動産資産を相続し、他の相続人には同じ価値分だけの代償金を支払って問題の解決を図るのが一般的です。しかし、そのためにはまとまった資金が必要です。不動産資産はあるわけですから、その一部を売れば容易に現金を準備することができます。ところがここが厄介なのですが、資産家はなかなか土地を売りたがりません。「先祖代々の土地を自分の代で失うわけにはいかない」というもっともらしい理由を言うのですが、要はご近所に「お金がないから土地を売った」ということを知られたくないのです。それではどうやって現金を準備すれば良いのでしょうか。ここで有効なのが生命保険です。
 生命保険は、死亡保険金の受取人が決まっているため、明確な遺言書などがない場合や、遺産分割協議中であっても受け取ることができます。ご本人が生前中に、長男などを死亡保険金の受取人にしておくことで、相続人は代償金として使える資金を確実に受け取ることができるというわけです。これで相続人同士で揉めることなく、一方は不動産を、一方は現金を手にすることができます。また、納税資金が足りない場合も、この死亡保険金をすれば、不動産資産を売却することなく、納税の義務を果たすことができます。
 生命保険を相続税対策として利用するメリットは他にもあります。まず、非課税枠があることが挙げられます。生命保険の死亡保険金は相続税の対象になりますが、「500万円×法定相続人数」の非課税枠が設けられています。現金を相続すると、そのままの金額が相続税の対象となってしまいますが、死亡保険金だとこの非課税枠が適用されるのです。例えばAさんのケースでは、2000万円の生命保険がかけられていました。法定相続人は妻と子供2人、合計3人でしたので、「500万円×3人=1500万円」までは課税対象外となります。したがって課税されたのは500万円だけでした。もしも相続税の対象になる資産を現金でお持ちの場合は、それを生命保険に変えておくだけでも、一定の節税効果が得られるということです。ただし、これはあくまで相続人の生活を守ることを目的としているため、相続人以外の人が受け取った死亡保険金には適用されません。
 また、金融機関の口座は、名義人が死亡した時点で「相続財産」の扱いとなるため、遺産分割協議が整うまでは誰も預金を引き出すことができません。手続きには手間もかかる上、長いと引き出し可能になるまで数カ月待つことになります。これでは納税資金はおろか、葬儀費用を用立てることさえできない可能性も出てきます。実はこれも、生命保険で賄うことができるのです。
 生命保険は受取人が請求手続きをすれば、1週間前後で指定口座に現金が振り込まれます。まとまった資金がすぐに必要だという場合にもすぐに対応することができます。
相続対策とは節税がすべてではありません。相続発生時に、財産を引き継ぐ方々がトラブルなどに巻き込まれないように準備をしておくことも重要な対策です。相続についてお悩みの方は、お近くの「相続不動産相談所」にご相談下さい。