自然災害鑑定士に聞いてみた「大雪で屋根が破損!その修理費用、あなたらならどうしますか?」|住まい|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2019.02.11

自然災害鑑定士に聞いてみた「大雪で屋根が破損!その修理費用、あなたらならどうしますか?」

自然災害鑑定士に聞いてみた「大雪で屋根が破損!その修理費用、あなたらならどうしますか?」
各地で頻発する大雪被害

 ここ数年、各地で記録的な大雪が続いています。自然災害鑑定士のもとに寄せられる、建物の倒壊、屋根の破損などに関する相談もここ数年で急増しています。そこで今回は、みなさんが加入されている火災保険の活用法についてご紹介したいと思います。

「2月の大雪で屋根瓦や雨どいが破損。修理費用で急な出費をしなければならなくて困っている」

 新潟県でリフォーム業を行うA社に、ある日こんな相談が舞い込んできました。雪国では毎年、大雪で家の一部が被害を受けるということが珍しくありません。しかし、毎年毎年、被害を受けるたびに自費で修理をしていたのでは、いくらお金があっても足りません。「何とかできないものか」とお悩みの方は多いのではないでしょうか?実はこの悩みの解決方法として最近、火災保険が注目されているのをご存知でしょうか?「なんで火災保険が?」と思われる方もいるかも知れませんが、実は火災保険で補償されるのは火事だけによる被害だけではありません。豪雨や風災、大雪などの自然災害が原因の住宅被害も、火災保険が適用されます。

「修理したくてもお金がない」
「今あるお金は別に使う予定があるので使いたくない」

など、さまざまな理由で修理費用の捻出が難しい場合は、まず加入されている火災保険を使って修理できないか確認してみましょう。
 雪が原因で起こる住宅被害にはいくつか種類があります。では実際にどんな被害が火災保険の補償対象になるのでしょうか。火災保険に詳しい専門家に聞いてみました。

ケース①大雪の重みで家屋が倒壊

→建物自体が火災保険の対象物になっているため、損害は補償対象となる

ケース②雪の重みで物置が壊れた

→火災保険が補償の対象としているのは、基本的に建物本体だけに限らず、その付帯設備も含まれる。したがって「物置」だけでなく、同じ敷地内にある「門」や「塀」「カーポート」なども補償される。ただし、同じ敷地内にあっても、明らかに独立した建物と見なされる大型の倉庫などは、対象外となるケースもある

ケース③氷柱の重みで雨どいや外壁が破損

→雨どいや外壁は建物本体を構成する部材の一つであることから、当然ながら補償の対象となる。また氷柱は解けた雪が流れる落ちることでできるため、雪による被害と同様に見なされる

ケース④吹雪で屋根の上に立てていたアンテナが折れた、曲がった

→基本的にはケース②と同様、建物の付帯設備と見なされるため、補償されることが多い。ただし、保険加入後に立てられたものについては、適用対象外とされることもある

 以上のように、明らかに雪が原因で被害を受けたものについては、火災保険でその修理費用は補償されます。ただし、加入している火災保険によっては、足場代や搬入運搬費を除いた修理額が20万円に満たない場合、保険金が下りない内容になっているものもあるので、中止が必要です。また、そうした条件がない場合も、修理費用がそれほど高額にならないのであれば、自己資金で修理してしまった方が良い場合もあります。まずは状況を正確に把握することが大切です。
 最後に、冒頭で登場したA社が、大雪で被害を受けた屋根を、火災保険を使って修理した事例をご紹介しておきます。
 大雪の被害を受けたIさん宅で、屋根の袖瓦の一部が雪の重みで落下。さらに残りの瓦も吹雪が起これば落ちてしまいそうな状況でした。A社が提出した見積りは約70万円。Iさんは半年前に浴室のリフォームを行ったばかりで、すぐに用立てできる現金が50万円ほどしかありませんでした。そこでA社はIさんに対し、保険会社に問い合わせて、火災保険が適用できないか相談してはどうかと提案しました。結果、被害のすべてが補償の対象とみなされ、約40万円を保険金として受け取ることができました。Iさんの自己負担は30万円で済みました。
 いかがでしょうか。火災保険が自然災害にも利用できるということをご存知ない方は意外と多くいらっしゃいます。ご不明な点がある方は、お近くの自然災害鑑定士に相談してみてはいかがでしょうか。