そのリフォームちょっと待った!~リフォーム取引販売士に聞きました~①|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2019.04.01

そのリフォームちょっと待った!~リフォーム取引販売士に聞きました~①

「家に入れない」「その場で契約しない」「一人で決めない」ことが最大の防衛策

 高齢者を狙った悪質なリフォーム詐欺が横行しています。その数は年々増加していて、手口も巧妙化しています。被害に遭わないためにはどうすれば良いのでしょうか。実例を交えながら対策について考えてみたいと思います。

 悪質リフォームの被害でもっとも多いとされるのは、「点検商法」と呼ばれる手口です。無料点検と称して家の中に上がり込んであちこちの点検を行い、悪くもないのに「異常があるから放置して置いたら大変なことになる」と不安をあおって、高額なリフォーム契約を結ばせるというものです。
 それでは、悪質業者はどうやって近づいてくるのでしょうか?言うまでもなく、表向き彼らは、とても人の良さそうな顔をしています。例えば庭や家の前の掃除をしているときに、「近くで〇〇の工事をしている者で、騒音でご迷惑をお掛けするかもしれませんのでご挨拶に来ました」などと言って近づいてきます。話が挨拶だけで終われば問題ありませんが、「ご迷惑をお掛けするお詫びに、お家の無理用点検サービスをさせて頂きます」と言ってきたら注意が必要です。あまりメンテナンスなどをしていない古いお宅にお住い方は、「ガス給湯器の調子が悪い」「最近、床の軋む音が気になるようになった」など、心のどこかに家に対する不安を持っているものです。そこに「無料で点検しますよ」と言って、いかにも人の良さそうな青年が挨拶に来たら、ついつい「じゃぁ、お願いしてみようかな」と思ってしまうのも無理ありません。
 案の定、こうしたケースでは大抵の場合、業者は「ちょっと傷みが激しいですね」「今のうちに修理しないと後で取り返しのつかないことになりますよ」と言って、修繕を提案してきます。もちろん、すべてが嘘とは言いませんが、中には何の問題もないのに、あたかも問題があるかのように装って、不安を煽ってくる業者もいます。そして「今ならキャンペーンでお安くしておきますよ」とお得感を出した勧誘で、その場で契約を結ばせようとします。被害に遭われてしまう方は、みなさん心の底では何となく怪しいと思っています。それでも、ヒトの良さそうな雰囲気や、その場の空気に流されてしまい、契約してしまいます。
 それでも業者が帰った後ですぐに冷静になって、契約内容を見直したり、家族に相談すれば最悪の事態を回避することはできます。しかし、近くに相談できる相手がいない方は、結局そのまま工事が始まってしまい、「安い」と言っておきながら、実際には相場よりもかなり高い高額なリフォーム代を請求されることになってしまいます。

 さて、こうしたケースではどうやって対策を取れば良いのでしょうか。まず、被害に遭わないようにするためのポイントです。

①突然やってくる業者を不用意に家の中に入れない
②万が一業者を家の中に入れてしまい、リフォームを提案された場合でも、絶対に1人で決断せずに、家族に相談する
③知人・友人に建築やリフォームに詳しい人がいる場合、契約する前に金額が妥当かどうか相談する
④キャンペーン中で安いと言われても、絶対にその場で契約しない
 以上のことを肝に銘じておいて下さい。そもそもまともな業者であれば、その場ですぐに契約させるようなことはしません。きちんと、事務所に戻って見積書を作成し、どこにどんな部材を使うのかきちんと丁寧に説明してくれます。
 とはいえ、中には相手の押しに負けて契約してしまう方もいると思います。そうした場合はどうすれば良いでしょうか?実はこの「点検商法」を含めた訪問販売は、基本的にクーリング・オフの対象になります。つまり、契約書面受け取った費を含めて8日以内であれば、契約を解除することができるのです。また、書面に不備があったり、虚偽の記載があった場合は、そもそも契約自体成立したことにはならないので、8日を過ぎてもクーリング・オフできる場合があります。業者が帰った後で「しまった!」「やっぱりこの金額はどう考えても高過ぎる」と思った場合は、一度契約を解除し、改めて色々な方のアドバイスを受けながら検討してみることをお勧めしています。
 一方、契約が成立してから8日が過ぎてしまった場合はどうなるのでしょうか?この場合も、状況によっては契約を解除できることがあります。例えば、

①業者が取引内容についてきちんと説明しなかったため誤った認識のまま契約をしてしまった場合
②勧誘時に「帰ってくれ」と言ったにもかかわらず、そのまま粘られたためやむを得ず契約してしまった場合

以上のようなケースでは、後から契約の取り消しを主張することができます。
 こうしたトラブルでは、いくら契約の解除を主張しても、業者は契約書の存在を楯に、なかなか首を縦に振ってくれません。契約の時に温厚だった人が、電話で契約解除を申し出た途端に豹変することもよくあります。こうなると、一人で太刀打ちすることはもうほとんど不可能だと言えるでしょう。リフォームに関するトラブルでお悩みの方は、お近くのリフォーム取引販売士に相談してみてはいかがでしょうか。