真説 賃貸業界史 第15回「管理会社倒産の歴史」|記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2019.04.08

真説 賃貸業界史 第15回「管理会社倒産の歴史」

真説 賃貸業界史 第15回「管理会社倒産の歴史」
手堅いはずの管理業 身の丈にそぐわない経営で破綻することも

 一連の建築偽装により、賃貸管理大手の一角であるレオパレス21(東京都中野区)が経営危機に直面している。その闇は根深く、事件発覚から1年以上が経過した現在も被害は拡大の一途を辿っており、全容は明らかになっていない。今後の修繕費の補償、賠償責任などの規模によっては、「倒産」の二文字が現実味を帯びてくる。今回は管理会社倒産の歴史を紐解く。
 -管理会社はつぶれない-賃貸管理業はかつて、あらゆる産業の中でもっとも安定したストックビジネスとして、こう表現されていた。それは、「資金や資格がなくても誰でも始めることができ」、さらに「放っておいても毎月安定した管理料収入がある」というイメージがあったためだ。しかし、バブル崩壊の時期を境に賃貸業界を取り巻く環境が激変したことで、管理業の安定性は失われてしまった。長期にわたる景気低迷や、物件の過剰供給の影響で全国的に空室が急増。さらに敷金トラブルや滞納リスクなどのさまざまな問題も顕在化した。今や日本のどこを探しても“絶対に潰れない”管理会社は存在しない。
 管理会社の倒産事件としてメディアを騒がせた最初の事件は、おそらく三和ホームとその子会社であるリエスタコーポレーションの経営破綻ではなかっただろうか。今を遡ること、約20年前の出来事だ。
 同グループのビジネスモデルは、賃貸住宅の建築から管理・運営までを一括して請け負うというもの。要は今のレオパレス21や大東建託、ハウスメーカーなどと同じ仕組みで急成長した会社だ。しかし、好調な業績とは裏腹に、同社に対する評判はすこぶる悪かった。夜間に家賃を取り立てたり、玄関に貼り紙をするなどの行為は日常茶飯事。そういう時代だったと言えってしまえばそれまでだが、かつて同社に所属していた人物は、「他業者とは比較にならないほど強引な手法で家賃回収を行っていた」と証言する。結局、悪評がたたって最後は計画的に倒産。入居者から預かっていた保証金や家賃などは返金されず、多くの家主が泣かされる結果となった。
 2008年に経営破綻したキョーエイ産業(広島市安佐南区)も業界に与えた衝撃は大きかった。同社は投資用マンションを自社開発し、販売後は家賃保証で管理を請け負うというビジネスモデルを展開し、最盛期には7000戸以上の物件を管理していた。しかし、無理な土地の仕入れで資金繰りを悪化させ、最後は管理部門を他の会社に譲渡して倒産した。
 仲介会社から派生した管理会社の倒産もあった。例えば、“電貼り”と呼ばれる電柱に入居募集チラシを貼り付けて集客する手法を得意とした、三恵住宅(大阪府堺市)の関連会社として設立されたオクト三恵(大阪府大阪市)もその一つだ。最盛期、南大阪エリアを中心に約2000戸の管理物件を有していた同社だったが、電貼り規制により三恵住宅の仲介が激減したことで入居率が低下。その影響で家主離れとサブリース物件の逆ザヤが発生し、経営破綻したと言われている。
 兵庫県でも管理会社の経営破綻が立て続けに発生している。2010年には、加古川市を代表する企業であるリビングワールド(兵庫県加古川市)が経営破綻した。土地活用や賃貸管理、不動産開発、高齢者マンションなど、多角的な経営を行っていたが、ファンドへ売却する予定だったホテルの開発案件が焦げ付いたことが引き金となって、資金繰りが悪化。再建の道を探る過程で、さまざまな経営問題も発覚し、最後は自己破産した。
 2016年には姫路市の管理会社、日本住宅サービス(兵庫県姫路市)が経営破綻の末、破産した。積極的な営業で管理を受託し、最盛期には約4500戸を有していたと言われる。しかし、同社に詳しい人物は、「内情は火の車で、逆ザヤ物件だらけで利益はほとんどなかった」と話す。
 兵庫県西宮市で賃貸管理業を手掛けていたベストコミュニティー(兵庫県西宮市)は、昨年7月に経営破綻した。堅実な管理会社として地元での評判は上々だったが、仲介業に進出するなど、事業の多角化を進めた結果、資金繰りが悪化。管理部門を別会社に委譲し、倒産した。
 好景気に沸く首都圏でも、有力管理会社の倒産は起こっている。今から2年半前に倒産したアルファ・プロパティマネジメント(東京都渋谷区)は、最盛期には約7000戸を管理していた。2015年には年商200億円を記録するなど、業績は好調だったが、収益不動産の仕入れやマンション再販事業の拡大で資金繰りがショート。最後は粉飾決算や横領など、ずさんな経営実態も明らかになり倒産した。
 管理業は手堅く、安定的なビジネスであることは今も昔も変わらない。しかしそれは、人の信頼を裏切ることなく、堅実に仕事をすればこその話だ。目の前の売上に目がくらんだり、人の目を盗んで詐欺的な行為を行えば、いくら手堅いビジネスと言えども、必ずどこかに歪は生じるものだ。これまでに倒産した管理会社はいずれも、身の丈にそぐわない経営や、信頼に背く行為によってその身を滅ぼした。過去の教訓から学ぶべきことは多い。