大和ハウス工業、1年で5回目の不祥事発覚|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.04.06

大和ハウス工業、1年で5回目の不祥事発覚

大和ハウス工業、1年で5回目の不祥事発覚
今度は東北工場で2億円を超える架空発注

 住宅大手、大和ハウス工業でまたもや不正が発覚した。今度は、東北工場に勤務する50代の課長職の男性が、総額2億数千万円もの建設用鉄鋼の架空発注を行っていたと言うのだ。架空発注の期間は2013年から17年の4年間にも及ぶ。捜査に影響が出る可能性があるとして、現時点で具体的な手口や私的流用の有無などについての発表はない。同社ではここのところ不祥事が相次いでおり、業界からは「大手としてのコンプライアンスがまったくなっていない」「問題が多発するのは経営陣の意識に問題があるのではないか。しっかり責任の所在を明らかにしてほしい」など、厳しい意見が相次いでいる。
 「またか・・・」という印象を抱いた人は多いだろう。それもそのはず、大和ハウス工業で不祥事が発覚したのは1度や2度ではない。驚くべきことに、この1年を振り返っただけでも5度目だ。いずれも看過できないレベルの不祥事であり、同社の管理体制の問題を指摘される事態に発展している。
 昨年3月に発覚したのは、現地の建設会社と合弁で設立した住宅販売関連会社で起こった巨額横領事件だ。その額は約234億円にも上った。関連会社の経理担当者から、預金残高と帳簿の金額に差異があるとの報告を受けて始まった調査で発覚した。事件の直前、合弁先の建設会社は関連会社が開発した物件を無断で譲渡していたことが判明するなど、他にも問題を起こしていた。全額が回収できなかった場合、約117億円の持分法投資損失を計上する見込みだと発表されていた。
 翌4月には、国内で建物の建築基準法違反が発覚。当初2000棟されていた違反物件は、その後の調査で火だるま式に増え続け、最終的に4000棟近くに膨れ上がった。アパート大手レオパレスで、大量の建築基準法違反が発覚したばかりとあって、世間の反応は非常に厳しかった。
 さらに4カ月後には、「岩塩温泉りんくうの湯」(大阪府泉佐野市)と「岩塩温泉和らかの湯」(兵庫県尼崎市)で、温泉水の不正表示が発覚した。効能を期待して通っていた利用者の気持ちはどうなるのか?これは、一般消費者を狙った詐欺と言われても仕方ない。
 12月には、社員約350人が、必要な実務経験年数を満たしたさずに国家資格である施工管理技士を取得していたことも発覚した。これだけの人数が個人の判断で不正を行ったとは到底考えられない。会社として指示していたか、もしくはそれが当たり前の雰囲気が蔓延していたのではないだろうか?
 大和ハウス工業は日本を代表する大企業だ。しかし、実態はそれとは程遠い。失墜した信用を回復することができるかどうかは、今後の同社の対応にかかっている。