不動産業界覆面座談会「新型コロナウイルスでリフォーム業界も大打撃」|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.04.27

不動産業界覆面座談会「新型コロナウイルスでリフォーム業界も大打撃」

不動産業界覆面座談会「新型コロナウイルスでリフォーム業界も大打撃」
クロス、住設の納期が大幅遅延の事態に

 先月号では、中国・武漢で発症した新型コロナウイルスの影響を受けている日本の不動産市場の現状について、4名の不動産会社社長にそれぞれの見解を語ってもらった。今回は引き続き、不動産業と関連の深いリフォーム業界の影響について意見を聞いた。

-みなさん、不動産業を営む中で、リフォーム関連の業者とも色々なお付き合いがあると思いますが、コロナウイルスの影響を感じることはありますか。

A社長 うちは管理業を主体にした不動産会社だから、リフォーム業者から色々話は聞いているよ。例えば原状回復を頼んでいる業者は大変そうだね。今は1年を通じて一番入退去の多い時期だから、うちもかなりの数の原状回復を頼んでいるんだけど、彼らが言うには壁紙を仕入れるのがとにかく大変だってこと。どういうことかと言うと、大手メーカーの量産品クロスは中国の工場で作られているから、コロナウイルスの影響で工場の稼働が止まって製造できないみたいなんだよね。

B社長 その話は僕も聞いた。壁紙だけじゃなく、住設関係も同じような状況みたいだね。大手メーカーはどこも中国に製造を依存しているからね。今はまだ完全に仕入れができないという状況ではないようだけど、これからじわじわと来るんじゃないかな。

C社長 家電量販店に行ってみれば分かるけど、一般消費者レベルじゃすでにすぐに購入できないものもたくさんある。エアコン、空気清浄機なんかは、軒並み入荷待ちの札がかかっているような状況で、実際に手元に届くのは2、3週間後というものも少なくない。

D社長 ちょうど花粉症の時期だから、空気清浄機を買いたいと思っている人は多いでしょう。でも欲しくても手に入らない。安倍首相は、コロナウイルスはこの1、2週間が勝負だなんて言っているけど、実際どうなるか分からない。仮に収束の兆しが見えず、さらに長期化するようなことになれば、夏場のエアコン需要も取り逃がすことになる。これは、家電業界だけでなく、不動産業界、リフォーム業界にとっても看過できない事態だよね。

A社長 ここだけの話、本来であればクロスを貼り替えるところ、クロス自体が不足していてなかなか手に入らないものだから、洗いだけで済ましてごまかしている業者がいるって話も耳にしたよ。うちは必ず工事が完了した時点で担当が現場確認を行うから、ごまかされる心配はないけどね。でもこれからはその辺りのことも警戒しなくちゃいけない。業者が持ち帰る廃材をチェックすれば、クロスを貼り替えたかどうかは一目で分かるからね。

B社長 うちは自社で中古マンションを買ってリノベーションして再販する事業もやっているんだけど、エアコンなどの設備がなかなか手に入らないから、工事のスケジュールが遅れて困っているよ。実需用の中古マンションも、やっぱり春先には販売できる状態にしておかないと、商機を逃してしまうからね。

-壁紙やエアコン以外に、今はどんなものが入荷しづらい状況なんでしょうか?

A社長 トイレに洗面化粧台、建具、水栓金具など、正直なところ挙げたらキリがない。製品そのものを作っていなくても、一部の部品だけを作っている工場もたくさんある。部品が足りなきゃ製品は完成しないからね。メーカーはこれまで、人件費が安いという理由で中国に生産拠点を集中させてきたけど、そろそろそうしたやり方を見直す時期に来たというふうに捉えるしかないよね。最近は中国の人件費もだいぶ上がっていると聞くし、リスクヘッジのためにも生産拠点はいくつかに分散させた方がいいよね。

C社長 ちょうとど1週間くらい前に、気になって色々な住設メーカーのホームページで在庫状況を調べていたんだけど、どこも「入荷の遅延についてのお知らせ」というのが掲載されている。改めて国内メーカーの中国依存の高さに驚きましたよ。

D社長 それでも「納期が遅延する可能性がある」となっているならまだ完全にダメというわけではないからマシだよね。タカラスタンダードなんかはいくつかの商品は「新規受注不可」となっている。普段から贔屓にしていた業者にしたら、たまったもんじゃないよね。

B社長 ただ、これだけあらゆる商材が不足気味なっている状況でも、「うちは在庫が十分にありますから大丈夫」って謳っているリフォーム業者もいるよね。実は2年くらい前から懇意にしている業者がそんな感じで、うちは今のところ、原状回復も内装リフォームも後期が遅れることなく計画通りに施工してもらえています。

A社長 それはいいな。うちも紹介してもらいたいくらいだよ。でも、在庫に余裕があるって、そんなに資本力のある大きなリフォーム会社なの?

B社長 いやいや、所帯10名くらいの小さな地場業者ですよ。僕もちょっと気になってそこの社長に聞いて見たら、どうやら倉庫に山ほど在庫をストックしているとかではなく、とあるリフォーム団体に加盟していて、そこがメーカーと直接交渉して、まとめて色々な商材を大量に仕入れておいてくれるみたいなんだよね。しかも、かなりの数の会員がいるから、大量購入で仕入れコストを下げている。普通に問屋から買うよりも安いって話だよ。

C社長 個人店や地場の中小リフォーム会社だと、さすがにメーカーと直接交渉なんてことはできないからね。リフォーム業者を代表してメーカーと交渉してくれるっていうのはありがたいよね。

D社長 昔から家電量販店の業界では似たようなボランタリーチェーンがあったけど、それのリフォーム版のようなイメージだよね。実際、そのリフォームの団体にはどのくらいの数の業者が加盟しているんだろうか。

B社長 1500社以上?って話ですよ。これだけの数があれば、仕入れ面でかなりのスケールメリットを出せるだろうね。

A社長 うちが加盟して商材を安く仕入れて、業者に卸しても面白いかもしれないね。

C社長 さっき、中国人観光客が激減して困っている民泊を一般賃貸にリフォームみたいな話が出ていたけど、リフォーム用の商材が不足しているんじゃ、それすらままならないよね。

D社長 リフォームだけじゃなく、新築の現場はもっと悲惨だよ。知り合いの社長のところは、2月にマンションの新築工事が始まる予定だったんだけど、トイレや浴室、システムキッチンの納期に遅れが生じることになってしまったとこで、着工時期を1、2年延期することにしたらしいです。幸い、立地が良いので寝かしている期間はコインパーキングにして収益を上げるって言っていましたね。

A社長 僕の知り合いも似たような話をしていたね。そこは戸建分譲の会社なんだけど、5月に4棟の新築戸建ての販売をスタートする計画で工事を進めていたらしいんだよね。ところがここにきてキッチンの生産が間に合わないかもしれないって話が出てきて、あわててメーカーに確認したら、入荷未定だって言われたらしいんだよね。こういう状況だから仕方ないと言われればそれまでなんだけど、業者側からしたら死活問題だよ。その業者にしたって、キッチンが付いてない状態じゃ売り出すことなんてできない。仕方なく、仕入れ値はだいぶ上がってしまうけど、すぐに手に入る別のメーカーのキッチンを手配したらしい。予定していたのと違うキッチンを入れるから追加工事も発生したりで、本当に大変そうだったな。

-果たしてこの状況はいつまで続くのでしょうか。みなさんはどう考えておられますか。

D社長 個人的な見解だけど、例え国内の感染が収まったとしても、肝心の中国の状況が今のように不透明なままでは、先行きは見えないんじゃないかな。だって中国国内だけで死者数が2000人を超えているんだよ。普通に考えれば、収束はまだ先だよね。

A社長 中国の回復を待っていても仕方ない。生産拠点を分散させる方向で対応を考えているメーカーもあるみたいだけど、これもすぐにできるわけじゃない。あと1、2ヶ月で元の状況に戻ると考えるのには無理があるよね。

B社長 オリンピック景気は大会が終わるまでなんて言われていたけど、まさか終わる前にこんな事態になるとは誰も想定していなかったよね。僕はこのままの状況がオリンピックの期間をまたいで続くんじゃないかと思っている。数カ月前の好調な状態に戻ることはないんじゃないかな。

C社長 どうせオリンピックまでと言われたわけだし、それが半年ちょっと早く来てしまっただけのこと。そう割り切るしかないかな。商材不足は、いずれはもとに戻るだろうけど、それがいつになるのかは今は全く見えないね。とにかく、まずはコロナウイルスが終息することを願っている。このままだと本当に東京オリンピックが延期とか中止になってしまうかもしれないしね。

(プロフィール)
A社長 50歳。渋谷区、新宿区などで不動産事業を手掛ける。管理戸数は約2000戸。
B社長 横浜を中心に約4000戸を管理する不動産会社社長。他に、中古マンションの仲介やリフォームも。38歳。
C社長 東京都内で賃貸管理・仲介、不動産売買などを行う傍ら、自らマンション経営も手掛ける。48歳。
D社長 分譲マンションの販売を中心に、不動産業務全般を手掛ける。48歳。