プロが語る大阪不動産市場の今(第2回)|不動産|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.07.13

プロが語る大阪不動産市場の今(第2回)

プロが語る大阪不動産市場の今(第2回)
不動産価格は最大2割下落する可能性も!?

 ようやく、新型コロナウイルスがひと段落し、以前とまではいかないまでも、街にも少しずつ活気が戻り始めている。二次感染のリスクを考えれば、緊張を緩めることはまだできないが、ようやく営業を再開することができ、胸を撫でおろしている経営者も多いのではなないだろうか。前回に続き、大阪の街の様子を、地場で活躍する不動産会社、センチュリー21・ワールドスタイル(大阪市北区)の柴田裕治社長に聞いた。

-今回もよろしくお願いします。前回は主に、柴田社長が得意としている賃貸関連の動向についてお話を伺いました。今回は、周期不動産の動きについて伺いたいと思います。そもそも前提として、新型コロナウイルスが流行する前の大阪の不動産投資市場は、どんな状況だったのでしょうか。

柴田 ここのところずっと、インバンドの影響で相場自体が上がっていました。当社も仕事柄、収益不動産を取り扱う機会は多いのですが、非常に高いなという印象でしたね。平時の相場と比べると最低でも1割、立地が良かったり築年数が浅かったりすると、2割くらいは高かったですね。去年うちで扱ったものだと、普通は1億5000万円くらいのものが、1億8000万円で売れました。

-コロナの影響でインバンドが激減しました。観光客が減っただけでなく、投資意欲もかなり低下していると思うのですが、不動産価格への影響は出ていますか。

柴田 3月、4月の段階では、それほど大きく変わっていなかったのですが、5月に入ってから徐々に影響が出始めています。おそらく6月には市場全体の相場が目に見えて下がるのではないかと推測しています。

-もともと相場よりも1割から2割高かったわけですが、それが相場くらいで落ち着くということでしょうか。

柴田 それよりももっと、具体的には平時の相場よりも1割近く下がるのではないかと思っています。実際に、それくらいまで下がったものもすでにあります。コロナの影響でダメージを受けた業者も多いですから、そろそろ売り急ぐところが出てくるのではないでしょうか。

-緊急事態宣言はすでに解除されたわけですし、影響は一時的なもので済むのではないかという見方もあります。

柴田 おそらくそんなことはないでしょうね。経済面での影響はこれからはっきりしてくると思いますが、予想よりも大きなものになると考えています。仮にそうなったとしたら、簡単には元の状態に戻らないと思います。不動産の価格は簡単に下がる割に、上がるのには時間がかかるものなんです。リーマンショックのときもそうでした。元に戻るまでに12、3年かかりましたからね。今回も長期戦を覚悟する必要があるのではないでしょうか。

-大阪に関しては万博やカジノ誘致など、不動産市場にとって好材料となりそうな話題が控えています。

柴田 今のところ影響はほとんどないと言うのが正直なところです。万博が決まった際にも期待する声は上がりました、実際にはほとんど影響はありませんでした。というのも、すでにインバンドの影響で値段が跳ね上がっていたからです。どんな好材料があっても、際限なく値段が上がるということはありません。大阪で言えば、相場から2割くらいが上限なのだと思います。

-大阪で注目するエリアを上げるとすればどこでしょうか。

柴田 大阪を北と南で分けて考えた場合、北は大阪市内と新大阪エリアがおススメですね。特に新大阪周辺はリニアの話もあって、去年はテナント関係が非常に良かったです。逆に南はすでにアッパーでしょうね。泉南エリアも一時注目されましたが、今以上に上がることはおそらくもうないと思います。

-新型コロナの影響で日本経済は大きなダメージを受けました。疲弊する企業が増える一方で、「今こそチャンスだ」と考える企業もあります。

柴田 不動産投資家にとってはチャンス到来といったところでしょうね。実際、意欲的な投資家もいて、良いものがあればすぐに教えて欲しいという問い合わせは結構あります。うちもいくつか収益物件を持っているので、良いものがあれば積極的に動きたいと思っています。

-ありがとうございました。次回は最終回となりますが、まとめとしてホテル民泊なども含めた不動産市場全体の動きについて伺いたいと思います。