50年健楽住宅~リフォーム後の体調不良、原因はトイレ?~|リフォーム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2020.08.10

50年健楽住宅~リフォーム後の体調不良、原因はトイレ?~

50年健楽住宅~リフォーム後の体調不良、原因はトイレ?~
どんな建材にも含まれる有害物質は含まれる

 家に使われる建材には、さまざま化学物質が使われています。そのため、新築にしろリフォームにしろ、建材から放出される化学物質が屋内に滞留しないように、換気には十分な配慮が必要です。今回はトイレのバリアフリー化に伴う健康被害について取材しました。
 大阪市内に在住の大富嘉克さんは2年前、実家で暮らすご両親のために、自宅を高齢者でも安心して住めるように改修しました。床は躓いて転ばないようにバリアフリー化し、廊下や階段などには手摺を設置、さらにトイレと浴室は高齢者が使いやすいものに交換しました。「これで両親が快適に暮らせる」と、大富さんはその出来栄えに大満足したそうです。
 ところが工事が終わってから3週間ほどした頃、大富さんが様子を見に実家を訪れると、そこには期待していたのと真逆の状況が待っていました。大富さんを出迎えた両親は、どこか元気がなく、しんどそうな様子だったのです。

大富さん「どうしたの?体調でも悪いの?」
両親「改装して暮らしやすくなったのは間違いないのだけれど、ここのところ2人揃って体調が良くなくて。眩暈や吐き気がするし、妻は頭痛もすると言っている」

 この言葉を聞いた大富さんはとても驚きました。たまたま不調が続いているのか、それともリフォームが原因なのかは分かりませんが、とにかく原因が分からないと対処の使用がないため、まずは知り合いの建築士に相談してみることにしました。
 相談を受けた建築士は早速、大富さんの実家を訪れて工事した箇所を確認するとともに、ご両親にヒアリングを行いました。

建築士「生活していて何か刺激臭のようなものを感じることはありましたか?」
ご両親「そういえば、トイレに入っていると、それほど対わけではないのですが、刺激臭のようなものを感じることがあります」
建築士「寝室で休まれているときはどうですか?」
ご両親「胸のムカムカもある程度落ち着いて、リラックスできていると思います」

 ヒアリングを終えた建築士は大富さんに対し、次のように言いました。

「どんな建材にも一定の有害物質が含まれていますが、ある位程度換気がしっかりしているところであれば、人体に影響が出るようなことはありません。ところが必要以上に気密化した家だと、有害物質が屋内に滞留してしまい、人体に害を及ぼすことがあります。確認したところ、トイレは今回の工事で壁と床を新しくしているにもかかわらず換気扇は以前のもののまま。しかも壁面には輸入壁紙を貼っていますよね?海外は日本と建築に関する基準が異なるため、中には国内製のものよりも多くの有害物質を出すものがあります。結論としては、トイレが一番空気がこもりやすく、したがって有害物質が滞留している可能性があります。逆に何の改修工事もしていない寝室にいる時には、気分が落ち着いているようです」

 建築士は以上を踏まえた上で、トイレの換気扇と壁紙を新しいものに交換し、さらに有害物質が屋内に滞留しないように、日中はできるだけ窓を開けて建物内の空気を入れ替るようにと提案しました。大富さんはこの提案を受け入れ、改めてトイレの換気扇設置工事をすることにしました。
 4日後、換気能力の高い換気扇に入れ替えたトイレでは、刺激臭がすることはほとんどなくなりました。その結果、ご両親も以前のような体調不良になることはなくなり、生まれ変わった家で快適に暮らせるようになりました。大富さんもようやく安心しました。
 最近は、省エネや光熱費削減を求めるあまり、家の気密性を必要以上に高めようとする風潮が強いですが、気密性を高め過ぎると、かえって人体に健康被害をもたらす可能性があります。何事もバランスが大切です。リフォームに関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。