WITHコロナで不動産ビジネスはどう変わる?|賃貸経営|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.09.14

WITHコロナで不動産ビジネスはどう変わる?

WITHコロナで不動産ビジネスはどう変わる?
オフィスは不要?それとも必要?
テレワークの普及に伴いオフィス需要はどうなるか?

 新型コロナウイルスの感染拡大は、ビジネスのシーンにおいてテレワークを普及させる一方で、不動産市場ではオフィス需要の落ち込みを引き起こしている。果たして、オフィスの需要はこのまま減退の一途を辿るのだろうか?今後を検証してみた。

「オフィス需要が低下している。このままいけば立地のよう都心部の物件であっても、入居率の低下は避けられないのでは?」

 こうした論調がささやかれるようになった原因は、言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大に伴い一時的に導入したテレワークが、予想以上に効率的で、働き方改革を促進する上でも非常に有用であることが証明されたことにある。毎日1つの場所に集まって仕事をすることの非効率さが、皮肉なことにコロナ禍によって明らかになってしまったわけだ。
 確かに、コロナ感染拡大以前のビジネススタイルは、無駄が多い。決まった時間にオフィスに集まるだけでも、かなりの時間とお金が消費される。例えば、東京に勤務している人は、片道1時間以上、往復で2時間から3時間を、毎日出勤のためだけに浪費している。通勤コストは1000~1500円。ひと月で換算する2万~2万5000円と言ったところか。社員一人でこれだけの浪費になるのだから、1000人、2000人規模の会社ともなれば、莫大な時間とお金が、通勤のために浪費されていることになる。さらにオフィスがあるということは賃料も発生している。テレワークを部分的にでも導入すれば、この一部が錯塩されるわけだから、当然のこととして議論されても不思議ではないだろう。実際、日立製作所のような大手企業でさえ、騒動収束後も、在宅勤務を標準とする方針をすでに発表しているし、ベンチャー企業の中にはオフィスを廃止する動きも出始めている。
 時間面、コスト面を考えれば、今までのビジネススタイルに無駄が多いことは明らかだ。だが、だからといってそれが「オフィス不要論」に直結するかと言えばそうではない。やはり、今までのやり方にしてもテレワークにしても、メリットとデメリットがあるわけで、当然ながら業種・業態によっても「合う」「合わない」はあるはずだ。
 最近よく聞くのが、「オフィスは企業価値を測る尺度になる」という意見だ。例えば東京都心部の一等地にオフィスを変えれば、それだけで信用になるし、対外的にも一目置かれる存在になれる。いくら口頭で

「うちは伸び盛りで売上もこれだけあります」

と言われても、オフィスが都心部から外れたボロビルの中となれば、評価はどうしても下がる(一般論として)。だが、出来立ての小さな会社であるにもかかわらず、オフィスが一等地にあればそれだけで信用は2倍増し、3倍増しになる。つまり、オフィスは単なる仕事場ではなく、社会的なステータスを得る上でも役立つわけだ。
 ただ、こうした考え方自体が「すでに古い」という意見も、若い世代を中心に多いことは事実だ。要は評価されるべきはビジネスの内容や実績であって、オフィスではないというのだ。いくらオフィスが良いところにあっても、ダメな会社はダメだし、業績が下がれば、好立地にオフィスを構えていることがかえって重荷になることだってある。そうしたリスクを抱えないためにも、あえてオフィスを賃料の手頃な郊外に置いたり、あるいはオフィス事態を廃止するというのも、決して誤った考え方とは言えないのである。
 とはいえ、それでもオフィスの存在意義そのものが薄れることはないだろう。例えば研修をはじめとする人材教育は、ある程度まではICT(情報伝達手段)を使ってできても、すべてをそれだけで済ませるのにはやはり無理がある。特に実務が伴うようなものは、どこかのタイミングで実際に顔を会わせなければならない。重要な資料をセキュリティが万全ではない自宅に保管しておくというわけもいかないだろう。ただし、いずれの場合においても、今までのような広いオフィスである必要はない。
 結局のところ、オフィスの需要は今後もなくなることはないだろう。だが、確実にミニマム化は進んでいくだろう。新型コロナの感染拡大を契機に変わりつつあるオフィス需要。10年後、20年後は果たしてどうなっているのか。