真説 賃貸業界史 第37回~賃貸経営に欠かせない家賃債務保証サービス~|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2021.03.01

真説 賃貸業界史 第37回~賃貸経営に欠かせない家賃債務保証サービス~

真説 賃貸業界史 第37回~賃貸経営に欠かせない家賃債務保証サービス~
倒産した会社は200社以上とも

 全国で200社以上あると言われる家賃債務保証会社。利用者数もどんどん増え続け、今や賃貸経営に不可欠な存在だ。だが一方で、その参入障壁の低さから、これまでにいくつもの会社が参入しては消えていった。今回は、消えた家賃債務保証会社についてまとめた。

 -リプラス、リアルコ、VESTA、アペックスグループ、オーガナイザー保証、ソフトニーズ、八丁堀保証、さわやか保証、明幸賃貸保証、グローバル賃貸保証、ウィル賃貸保証、リード信用保証、スピードネット-これらはみな、かつて存在した家賃債務保証会社だ。これだけではない。小規模な会社も含めれば、これまでに倒産した家賃債務保証会社の数は200社をゆうに超えるだろう。直近では、ジャパンレントアシストコーポレーションという大阪を拠点に活動していた会社が、コロナ禍で資金繰りが悪化したという理由で事業を停止した。
 家賃債務保証は、参入障壁が非常に低いビジネスだ。なぜなら、それほど多くの資金がなくても始めることができるからだ。モノづくりの会社であれば、商品を開発、製造するために、ある程度まとまった資金がいる。しかもできた商品が売れなければ、投資した資金を回収することはできない。一方で家賃債務保証は、先行投資的なものは基本的に必要ない。オフィスは自宅で十分だ。チラシかパンフレットがあれば、いくらでもサービスを売ることができるわけだ。不動産会社を窓口にして入居者と契約できれば、すぐに現金が入ってくる。出費は人件費や交通費といった固定経費のみ。「うっかりしてて振り込みを忘れた」「お金がないから来月まで支払いを待ってくれ」など、滞納はそれなりに発生するものの、最後まで立て替えた家賃が回収できないというケースはわずかだ。だから真面目に事業をやっていれば、基本的に倒産することはない。それにもかかわらず家賃債務保証会社が潰れていくのはなぜなのか?
 原因の一つは手数料の高騰だ。先述したように、家賃債務保証会社は不動産会社を窓口にして入居者と契約を交わす。このとき、窓口になってくれた不動産会社に対し、家賃債務保証会社は代理店手数料を支払う。不動産会社にとってこれは、非常においしい副収入だから、高いに越したことはない。「窓口になってくれ」と次々と営業に来る家賃債務保証会社の中から、1円でも高いところを選ぼうとする。結果、家賃債務保証会社間で激しい値上げ合戦が起こり、手数料はどんどん高騰していった。もともとたいした資本もなく事業を始めた会社は、この時点で淘汰された。
 2つ目の原因は景気の悪化だ。リーマンショック直後はその典型で、家賃滞納者が一気に増えたことで、多くの家賃債務保証会社が資金繰りを悪化させて潰れていった。それこそ、当時は毎週のように、「○○保証が倒産した」という類のニュースが業界内を飛び交っていた。
 家賃債務保証事業以外が原因で潰れた会社もある。リプラスはその最たる例だろう。会社設立からわずか2年でマザーズ上場を果たした同社は、不動産ファンド事業で業容を急拡大させたものの、ファンドバブルの崩壊とともに資金繰りが急速に悪化。創業から6年で破綻、良くも悪くも記憶に残る家賃債務保証会社だった。
 中には、悪事を働いて、意図的に事業をやめた会社もあった。ウィル賃貸保証は、入居者から徴収する保証料を不動産会社が自由に設定できるビジネスモデルをウリに、主に関西で事業を展開。急速に代理店数を増やしていったが、2008年に突然、業務を停止した。当時の会社関係者によると、原因は、代表者が入居者から集めた保証金を使い込んだうえ夜逃げしたことだったという。今にして思えば、最初から、金集めのために作られた会社だったのかもしれない。いずれにせよ、極めて悪質なケースだ。
 家賃債務保証は、まだ歴史の浅いビジネスだが、それでも話題のこと書くことはない。また機会を改めて、続編として紹介したい。