損をしない住まいづくりとは?賢い補助金制度の使い方|助成金|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2021.05.10

損をしない住まいづくりとは?賢い補助金制度の使い方

損をしない住まいづくりとは?賢い補助金制度の使い方
耐震補強、バリアフリー、省エネで補助金100万円

 特定の条件を満たしたリフォーム工事に対して、国や自治体が補助金を出していることは、最近よく知られるようになってきましたが、中には他の補助金制度と併用できるものがあることは意外と知られていません。上手く組み合わせれば、それだけもらえる補助金が増えるわけですから、当然、できる工事の幅もグッと広がります。今回は、複数の補助金制度を併用したリフォーム事例をご紹介します。

 神奈川県小田原市に在住の木幡秀則さん(65)は今から5年前に、息子さんの勧めで、築40年になるご自宅をリフォームしました。その際、3つの補助金制度を活用したそうです。
 息子さんがリフォームすることを勧めた一番の理由は、地震に対する不安からでした。木幡さんのお宅は、いわゆる旧耐震基準のときに建てられたものだったため、「大きな地震が来たら倒壊するかもしれない」という不安が常に付きまとっていました。実際、リフォーム直前には、震度2程度の小さな地震でも、家中あちらこちらで「ギシギシ」という音が聞こえていたそうですから、「待ったなし」の状況だったと考えられます。
 木幡さんと息子さんは、地元で評判のリフォーム会社に、耐震補強工事を依頼することにしました。担当者はまず、どの程度の工事が必要かを判断するために、行政が行っている無料診断を受けることを勧めました。行政のサービスを勧めたのは、無料で受けられることのほかにもう一つ、診断結果をもとに、耐震補強工事が対象の補助金制度を活用するためでした。
 診断の結果、木幡さん宅は「0.7」と評価されました。これは、「大地震が起きた際に倒壊する可能性がある」という危険な状態にあることを表すものでした。そもそもの耐震性に加え、40年という経年劣化もあるため、もはや一刻の猶予も許さない状況だったと言えるでしょう。
 さて、リフォーム会社の担当者はここで、耐震補強工事に加え、バリアフリー化と省エネ化もどうじにやってみてはどうかという提案をしました。確かに、木幡さんは最近、足腰が弱り出してきたこともあり、家の中の段差に躓くことが増えていました。「バリアフリーになれば、ふとしたことで躓いてケガをすることもないだろう」と思ったものの、複数の工事を一度に行うだけの予算はありませんでした。状況を察した担当者は、

「耐震補強工事では補助金制度を活用します。一方、バリアフリー工事と省エネ工事にもそれぞれ補助金を活用すれば、若干予算オーバーするかもしれませんが、かなりお得に工事ができるかもしれません」

と、同時に複数の補助金制度を利用することを提案しました。担当者が進めたのは、以下の3つの制度でした。

・住宅耐震補強助成事業補助金制度・・・最大60万円
・介護保険住宅改修制度・・・最大18万円
・省エネ住宅ポイント制度・・・最大30万円

うまくいけば、3つで108万円の補助金がもらえるわけです。もちろん、それぞれ細かい要件を満たさなければなりません。しかし、今回工事を依頼したリフォーム会社は、こうした補助金制度の活用実績が豊富で、木幡さんの希望額がもらえるように、申請手続きのアドバイスをしてくれたそうです。結果、全部で100万円の補助金がもらえました。

(工事内容)
-耐震補強工事-
・躯体の接合部分に耐震補強金具を設置
・壁には筋交いと耐力壁を設置

-バリアフリー工事-
・部屋ごとの段差を解消
・玄関回りや階段、トイレなどに手摺を設置

-省エネ工事-
・壁と天井、床下にグラスウールの断熱材を施工
・窓を後付けのペアサッシに交換

当初の木幡さんの予算200万円に対し、3つの工事を合わせた金額は312万円でした。これに対し、100万円の補助金が出たため、12万円だけ予算オーバーしたものの、かなりお得に工事をすることができました。
 補助金制度の中には、年間の予算枠が決まっているものもあるため、工事のタイミングによっては要件を満たしているにもかかわらず、補助金がもらえないこともあります。また、今回の事例で取り上げた「省エネ住宅ポイント制度」は、現時点ではすでに終了しているのでご注意ください。補助金を活用したお得なリフォームにご興味のある方は、お近くの全国優良リフォーム会員にご相談下さい。