レオパレス21 施工不良物件の改修先送りへ|企業|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.06.07

レオパレス21 施工不良物件の改修先送りへ

レオパレス21 施工不良物件の改修先送りへ
見通しの甘い計画に批判が殺到

「この期に及んで計画を先送りにするとは・・・。これでは再建どころの話ではない。そのくせ、我々オーナーに対しては家賃の減額を要請してくるなんてひど過ぎる・・・」

 こう話すのは、15年ほど前に、神川県内で、レオパレス21(東京都中野区)のアパートを2棟建築した中内保オーナー(64)だ。
 周知のとおり、レオパレス21は、2018年に発覚したアパートの施工不良がきっかけで極度の経営不振に陥り、現在、経営再建中だ。立て直しには、全国に約20万戸あると言われる施工不良物件の改修が不可欠なわけだが、当初はこれを2020年末までにすべて完了させるとしていた。しかし、計画は遅れに遅れ、ついに24年末へと先送りしてしまった。しかも、今年2月時点で改修工事を終えているのはわずか4万戸と、全体の2割程度しかない。いくらなんでも見通しが甘すぎると言わざるを得ない。これでは、オーナーや入居者から計画性のなさを指摘されて当然だ。
 計画の遅れは、同社の経営状況をますます悪化させる危険性をはらんでいる。改修対象になっている物件の多くには、今も入居者がいる。彼らからすれば、「一体いつまで施工不良物件に住ませておくつもりだ」と怒りの声が上がっても不思議ではない。当然、我慢が限界を迎えれば退去する可能性が高い。施工不良さえなければ、新たに入居者を入れることもできるが、問題物件である以上、入居募集をするわけにはいかない。危険性がないとしても、好き好んで施工不良物件に入居しようという人はいない。もし、こうした事態が大量に発生したらどうなるか?入居率は採算ラインと言われる80%を下回り、経営状況はますます厳しくなるはずだ。そうなれば、また改修計画が先送りになるかもしれない。要は、レオパレス21は、すでに容易には抜け出すことのできない負のスパイラルにはまり込んでしまっているというわけだ。
 何とか状況を打開すべく、同社はこの春から、サブリースで家賃を保証しているオーナーに対して減額要請を始めたとされる。考えてみれば、これも無茶苦茶な話だ。オーナー自身は何も悪くないどころか、同社に騙された立場にあるにもかかわらず、さらに負担を押し付けようというのだ。当然、この交渉は難航が予想される。金融機関からの借入の返済が終わっているオーナーならまだしも、そうでないオーナーは収入が減ったら返済ができなくなってしまう。そうなれば待っているのは経営破綻しかない。

-レオパレス21を儲けさせてあげたのに、レオパレス21に潰される-

そんなオーナーが、これから大量に出るかもしれない。
 新たに発表された計画では、今後は入居者の確保がしやすい首都圏や地方の都市部の物件を優先的に改修していくとしている。しかし、ここにも大きな疑問が残る。改修を終えても、もともとは施工不良物件だ。いったんケチのついた物件にあえて住もうと考える入居者が、そんなにいるとは思えない。おまけにコロナ禍が長期化し、人の移動も少なくなったままだ。結局、家賃を下げて、力づくで入居者を確保するしか、手立てはないのではないか。そうなれば、割を食うのはオーナーだ。
 不正を指示していたかつての経営陣たちは、どんな気持ちでこの状況を眺めているのだろうか。公の場で、その胸の内を語ってもらいたい。