どうなる大阪経済!プロフェッショナルの目!(全3回)|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.06.28

どうなる大阪経済!プロフェッショナルの目!(全3回)

どうなる大阪経済!プロフェッショナルの目!(全3回)
緊急事態宣言下のゴールデンウィーク 繁華街は多くの人出で賑わう

 国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、1年以上が経過した。しかし、事態は収束するどころか悪化の一途を辿り、人々は今も活動の自粛を強いられたままだ。もはや我慢も限界に来ている。昨年に引き続き、大阪で不動産業を営むセンチュリー21・ワールドスタイル(大阪市北区)の柴田裕治社長に、大阪経済の現状について聞いた。

-ちょうど昨年の今頃に、大阪経済の現状についてお伺いしました。あれから1年が経過し、何か変化はありましたか。

柴田 去年、取材を受けたときには、まさかこの状況が今も続いているとは予想もしていませんでした。感染者の数だけ見れば、状況はさらに悪くなっていると感じています。

-人出や商店など、まちの状況はどうでしょうか。

柴田 去年、ゴールデンウィークに併せて緊急事態宣言が出されたときは、日中でも街を歩いている人はまばらで、異様な静けさを感じました。大阪の中心地である梅田にある我々の事務所の周りを歩く人も、ほとんどいませんでした。しかし、今年の連休中は状況が一変しました。去年同様、宣言が出ているにもかかわらず、人出はかなり多かったように感じましたし、大型商業施設を除けば、日中は営業しているお店もかなりありました。

-1年我慢した結果、状況がまったく改善されなかったことで、人々の我慢も限界に来ているということでしょうか。

柴田 そうだと思います。多少でも改善が見られているのであれば、あともう少しと我慢もできるでしょうが、出口が見えない中で我慢を強いるのはもう無理なのではないでしょうか。

-梅田周辺と言えば、飲食店も多くあります。

柴田 去年の宣言中は、ほとんどのお店が営業を休んでいましたが、今年は日中はやっているお店が多かったです。もちろん、それでも20時で閉めるところが大半でしたので、夜になると人通りはほとんどなくなります。

-これだけ長い期間、営業自粛が続くと、そろそろ閉店するお店が増えて来るのではないかと思います。実際、どうでしょうか?

柴田 今年に入ってから確実に増えています。ただ、状況がひっ迫しているのは飲食店関係だけで、美容室や小売店などは、まだそれほど危機的な状況にはないと思います。梅田周辺だけでなく、難波や新世界といった繁華街も、同じような状況ですね。

-梅田周辺は飲食店にも人気のエリアです。平時あれば、空き物件が出ればすぐに次の入居が決まってしまうそうですが、今はどうでしょうか?

柴田 借り手がなかなかつかない物件が増えています。普段であれば、すぐに次の入居が決まるため、業者にはなかなか情報が回ってこないのですが、今は逆です。先が見えない中では、リスクを背負って出店しようという人はなかなかいませんよね。借りたはいいが、お店を開けられないとなれば、営業する前に潰れてしまいますから。ただ、普段は絶対に出ないような物件の情報が出回っているわけですから、資本力があるところにとってはチャンスかもしれません。

-撤退までには至らなくても、「売上が立たないから家賃を下げて欲しい」といった類の相談は増えているのではないでしょうか?

柴田 家賃給付金のおかげで、予想していたよりも、そうした相談は少なかったです。もしあっても、うちは家賃を下げるのではなく、支払いを猶予して、正常に戻った段階で、分割なり一括なりで支払ってもらうようにしています。

-ありがとうございます。次回は大阪の不動産市場の現状にスポットを当ててお話を伺いたいと思います。