大塚家具、ついにヤマダホールディングスの完全子会社に|企業|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.07.05

大塚家具、ついにヤマダホールディングスの完全子会社に

大塚家具、ついにヤマダホールディングスの完全子会社に
創業者・大塚勝久氏はこの結末に何を思うのか・・・

 「やはりこうなったか」と言うべきだろう。多くの専門家が予見していた通り、大塚家具(東京都江東区)が9月1日付で、ヤマダホールディングス(群馬県高崎市)の完全子会社とされることが発表された。大塚家具は8月30日に上場廃止となる。
 ヤマダホールディングスからしてみれば、一昨年の12月に資本参加した時点で、大塚家具の完全子会社化は、当然のことながら視野に入れていたはずだ。というのも、同社グループは2011年に住宅メーカーであるエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を子会社化して以降、「暮らしの総合サービス業」を標榜し、家電販売を中軸に、リフォームや不動産、保険、金融、インテリアなど、事業の多様化を進め、その過程でリフォームのナカヤマ、住宅設備のハウステック、住宅のレオハウス、ヒノキヤグループなど、数々の企業を吸収合併もしくは完全子会社化してきた実績があるからだ。遅かれ早かれ、大塚家具がいずれ、同社の完全子会社にされることは、誰の目から見ても明らかだった。
 大塚家具はこれから、ヤマダホールディングスの全面的な支援を受けて、経営の立て直し進めていくことになる。プレスリリースでヤマダ電機ホールディングスは、ヤマダ電機既存店舗での大塚家具製品の取り扱いを増やす方針を発表している。両店間での送客を今まで以上に強化し、シナジー効果を高めようとする狙いがあるようだ。果たしてうまくいくのだろうか。家電業界に詳しい専門家は

「-家電を買ったついでに家具も買う-一見するとうまくいきそうなビジネスモデルですが、これまでのところ、期待されたほどのシナジー効果は出ていないように思います。大塚家具はもともと富裕層を相手にしてきた会社ですから、ヤマダ電機とは客層が合致しません。そもそも、家電ついでにまとめ買いする家具が、どれだけあるというのでしょうか。テレビを買ったついでにテレビ台も買う、それくらいしか思いつきません」

と指摘する。裏を返せば、大塚家具が顧客ターゲットをヤマダ電機の客層に近づければ、シナジー効果はおのずと高まるというわけだ。だが、この意見に対しては、否定的な専門家も多い。ある経済アナリストは、

「客層を広げるためには、従来の中価格帯、高価格帯から、ニトリやIKEAのような低価格帯の路線に切り替える必要がある。しかし、大塚久美子前社長はそれで失敗した。低価格帯への切り替えはブランド価値を下げる行為とも受け取られかない。長年のファンすら離れてしまう危険性がある。ヤマダホールディングスがイニシアチブを握ったところで、うまくいくかどうかは甚だ疑問だ」

と話す。どちらに転んでも、大塚家具の再建は前途多難と見る向きが強いようだ。
 大塚家具はこれからどうなるのか。経営の立て直しがうまくいけば良いが、万が一、失敗したらどうなるのか。中堅リフォーム会社のナカヤマは、2018年にヤマダ電機に吸収合併され、法人は消滅した。“ナカヤマ”の名はもうどこにもない。大塚家具も同じ末路を辿るのか、すべては今後の業績次第だろう。
 父娘の親子喧嘩から始まった大塚家具の転落劇。12年の時を経て、ついに創業家の手を離れることになった。創業者である大塚勝久氏はこの結末を見て、何を思うのだろうか。