毎年1万7000人の命を奪うヒートショック対策とは?|リフォーム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
Pick Up

2021.11.08

毎年1万7000人の命を奪うヒートショック対策とは?

毎年1万7000人の命を奪うヒートショック対策とは?
さっきまで一緒にテレビ観戦していた父が浴室で急死!

 本格的な冬が近づいてきました。今年の冬は昨年よりも寒くなるようで、暖房機器がフル稼働しそうな気配です。しかし、そんなときにこそ注意しなければならないのが「ヒートショック」です。実は、日本では毎年、1万7000人もの人が、ヒートショックが原因でお亡くなりになっています。しかも、そこには高齢者だけでなく、若い人もかなり含まれています。今回は、手軽にできるヒートショック対策について取材しました。


「いつも通り入浴しに行ったところ、なかなか戻ってこなかったため、おかしいと思って浴室に様子を見に行った。すると、父が浴槽の脇で倒れていました・・・」

 2018年の1月に、同居していた76歳のお父様を突然亡くしたという水谷啓二さん。お父様の洋一さんは健康が取り柄で、突然の死にとても驚いたそうです。なぜ、洋一さんは急死したのでしょうか。原因はヒートショックによる心筋梗塞だったそうです。

 最近、耳にすることが多い「ヒートショック」とは、急な気温の変化で血圧が上下し、心臓や血管の疾患を起こる現象のことを指します。例えば、冬に暖かいリビングから、急に冷えた部屋に移動した際などに起こります。もっとも、ヒートショックは死に至る直接の原因ではなく、実際には、そこから起こる大動脈解離や心筋梗塞、あるいは脳梗塞で多くの方がお亡くなりになります。
 洋一さんの場合は、入浴前、リビングで啓二さんと一緒に大好きだった大相撲を観戦していたそうです。贔屓の関取が勝ったのを見届けた後、いつものように「風呂に入ってくる」と言って、浴室に向かいました。啓二さんにとっては、それが父の最後の言葉になってしまいました。
 水谷さんのお宅は、築40年の木造戸建てで、お風呂はバランス釜を使った古いタイプの者でした。床はタイルになっていて、冬はとても冷えるそうです。暖かくしたリビングから、いきなり寒い浴室に移動したことで体に負担がかかり、ヒートショックを引き起こしたのだと考えられました。

 事故後、洋一さんを担当した医師は啓二さんに対し、次のようにアドバイスしました。

「ヒートショックは年齢にかかわらず、誰にでも起こります。同様の事故を繰り返さないためにも、この機会に是非、ヒートショック対策をすることをおススメします」

 それでは実際に、ヒートショックにはどのような方法があるのでしょうか?基本的な考え方は、部屋と部屋の温度差をなくすことです。今回のケースでは、リビングと脱衣場よび浴室の温度差なくすことです。
 一般的なご家庭の場合、脱衣場にはエアコンなどの暖房器具がありません。そのため、リビングや寝室などと比べると、どうしても温度が低くなってしまいます。温度差をなくすためには、何かしらの暖房器具を設置する必要がります。

①セラミックファンヒーター
 
 もっとも手軽な方法は、セラミックファンヒーターです。持ち運びができて、電源さえあればすぐに使えるので、とても便利です。メーカーにもよりますが、費用的にも一番おススメの方法です。

②ガスファンヒーター

 短時間で脱衣場を暖めたいという方には、ガスファンヒーターがおススメです。ただし、ガスの配管工事が必要となるため、多少お金がかかります。また、脱衣所が狭い場合は、換気にも注意が必要です。

③石油ファンヒーター
 
 石油ファンヒーターなら、短時間で部屋が暖まりますし、配管工事もいりません。しかし、ガスファンヒーターと同様、部屋の換気には十分なケアが必要です。

④エアコン

 ヒートショックは冬だけに起こるものではありません。夏にエアコンを利かせた部屋から暑い部屋に移動したことで起こることもあります。「冬に暖かく、夏涼しく」という方にはエアコンがおススメです。ただし、脱衣場はそもそも狭く、設置場所の確保が難しいので、エアコンを取り付けられる家は限られます。難しいようであれば、扇風機などで代用するのも手です。

 床暖房を導入するケースもありますが、部屋全体を暖めるのにどうしても時間がかかってしまいますので、あまりおススめではありません。コストや効果を考えるのであれば、セラミックファンヒーターが一番良いかもしれません。
 今回は、簡単にできる脱衣場のヒートショック対策についてまとめましたが、ヒートショックが起こるのは浴室だとは限りません。トイレやキッチンなどでも起こることがあります。気になる方は、暖房機器を使って対策しましょう。この機会に是非、ヒートショック対策について考えてみてはいかがでしょうか。ご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。