ロシアのウクライナ侵攻でリフォーム価格が高騰!?|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.04.04

ロシアのウクライナ侵攻でリフォーム価格が高騰!?

ロシアのウクライナ侵攻でリフォーム価格が高騰!?
懸念される輸入木材不足、給湯器の品薄

「ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、リフォーム価格がさらに上がるかもしれない。リフォームするなら1日でも早い方が良い」

 みなさんは今、リフォーム業界でこんな噂が出ていることをご存知だろうか?

「なんでヨーロッパで起きていることが日本のリフォームの価格にまで影響するんだ?そんなはずないだろう」

もしかしたら、そう思う方もいるかもしれない。しかし、これは紛れもない事実であり、実際、すでにいろいろなところに影響が出始めている。その最たる例が木材の価格だ。
 周知のとおり、木材価格は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、アメリカや中国で新築住宅の需要が爆発的に伸びた影響で、世界的に高騰している。世間では「ウッドショック」と呼ばれているが、日本国内に流通する輸入木材も例外ではなく、中には1年前の倍の値が付けられているものもあるという。ホームセンターの中には、買い占めや転売を防ぐために、販売制限を設けているところもあるそうだ。
 実は、世界の森林の5分の1はロシアにある。ロシアにとって木材は、鉱物性燃料や鉄鋼、貴金属などに次ぐ重要な輸出品目であり、特にウッドショック以降は、輸出量を飛躍的に伸ばしてきた。日本の輸入木材も約14%がロシア産だ。意外に思うかもしれないが、実はかなり依存度が高い。
 しかし、今後は今までと同じというわけにはいかない。日本も他の主要国に倣い、ロシアへの経済制裁を強めざるを得ないからだ。必然的に、ロシア産の木材は輸入できなくなる。国内の木材不足にさらに拍車がかかることは必至だ。別の国からの輸入量を増やせればよいが、コロナ禍で物流網が混乱している現状を考えれば、それも難しいだろう。実際、どのタイミングで価格面にさらなる影響が出始めるかは分からないが、そう遠くない未来であることは間違いない。
 特に大きな影響を受けそうなのが構造用の合板だ。住宅業界の動向に詳しい専門家は、

「国内メーカーの合板はロシア産のカラ松を主要材料にしています。代わりのもので製造するにしても、すぐに確保できるとは限りません。おそらく、当面は品薄状態が続くのではないでしょうか」

と指摘する。構造用合板は耐震補強などにも用いられる重要な建築材料の一つだ。品薄状態が長引くようなことになれば、補助金・助成金を活用したリフォームもままならなくなる可能性がある。
 心配の種は他にもある。「ネオン」と呼ばれる、半導体製造に用いられる希ガスの存在だ。実は「ネオン」の多くはロシアとウクライナで生産されている。仮に、ロシアが経済制裁への報復措置として「ネオン」の輸出を制限したとしたら、どのような事態が起こるのか。間違いなく、半導体は世界的に極度の品薄状態に陥る。

「リフォームと半導体に、一体何の関係があるというのか?」

そう思う人もいるだろうが、大いにある。実は半導体は、給湯器製造に欠かせない重要な部品の一つだ。給湯器不足は、何も今に始まったことではないが、ウクライナ情勢の動向次第では、それがさらに深刻化する可能性がある。今でさえ、納品までに早くても半月から1カ月はかかるのに、それが2カ月先、3カ月先になってしまうかもしれないのだ。もしそのような事態になれば、工事が止まる現場も出てくるだろう。実際にロシアが「ネオン」の輸出制限に踏み切るかどうかは分からないが、可能性は十分にある。
 コロナ禍が続く中で起きたロシアによるウクライナ侵攻。いずれ、リフォーム資材の価格にも影響が出るだろう。リフォームを検討中の方は、1日でも早く決断した方が良いかもしれません。ご相談はお近くの全国優良リフォーム会員まで。