賃貸トラブル対策講座~高圧的な態度で言いがかりをつけてくる入居者~|空室対策|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2022.08.08

賃貸トラブル対策講座~高圧的な態度で言いがかりをつけてくる入居者~

賃貸トラブル対策講座~高圧的な態度で言いがかりをつけてくる入居者~
独自に作成したチェックシートでクレームを防止

 賃貸経営には入居者トラブルがつきものです。

・隣人が毎晩のように人を呼んで騒ぐので、うるさくて眠れない
・ペット禁止のはずなのに、この間犬を抱えてエレベータに乗り込む人を見た
・ゴミ出しのルールを守らない入居者がいる

等々、例を挙げだしたらキリがありません。中でも最も厄介だとされるのが、理不尽なクレームを立て続けに言ってくるモンスタークレーマーです。実際に起きた実例を取材しました。


「入居してから半年の間に、「壁紙が破れている」「床にキズがある」「窓の開きが悪い」等々、5回もクレームを言われた。入居時にきちんと管理会社が立ち会って確認したはずなのに・・・」

こう話すのは、賃貸経営歴12年の高城義人オーナー(仮名)です。
 問題の入居者A氏が高城オーナーの所有するマンションに入居したのは、2017年の3月のことでした。高城オーナーは、入居時には必ず自分自身で面談を行うことを徹底していて、A氏に対しても面談を行いました。そのときの印象について高城オーナーは、

「30代半ばの男性で、物腰の柔らかい人だなと思いました。少なくとも頻繁にクレームを言ってくるような人には見えませんでした。これはいい人に入居者してもらえたなと思いました」

と話します。しかし、その期待はA氏の入居からわずか1週間後に覆されることになりました。
 その日、高城さんはいつものように近所にある行きつけの喫茶店でコーヒーを飲みながら、マスターと世間話をしていると、携帯電話に見覚えのない番号から電話がかかってきました。「誰だろう」と思いながら通話ボタンを押してみると、電話を耳にあてなくても聞こえるほど大きな怒鳴り声が聞こえてきたそうです。

「一体どうなっているんだ!リビングの押し入れの襖が破れているじゃないか!すぐに直してくれ!」

何事かと思った高城さんは、とりあえず電話の相手を刺激しないように、

「とりあえず落ち着いてください。うちのマンションの入居者さんですか?それならまずは何号室の誰なのか教えて下さい」

すると相手は

「先週入居者したAだ!とにかく部屋に問題があったんだ。すぐにここに来い!」

と、ものすごい高圧的な態度で言い放ち、電話を切られてしまったそうです。とにかく詳しい状況が分からないため、高城さんはとりあえずA氏の部屋に向かうことにしました。道中、何かあっては困ると思い、管理会社にもすぐに来てくれるよう電話を入れました。
 マンションの前で管理会社と合流後、高城さんはA氏の部屋を訪ねました。応対したA氏は真っ赤な顔をして、次のように言ったそうです。

「引っ越ししてきた日はバタバタしていて気付かなかったが、押し入れの襖が破れていた。すぐに直してくれ!」

これを聞いた管理会社は、

「そんなはずはありません。入居日に一緒に部屋の中を確認しましたよね?何も問題はなかったじゃありませんか」

しかし、A氏は譲らず、たまたま見落としただけだの一点張りで主張を曲げようとはしませんでした。このままではずっと埒が明かないと感じた高城オーナーは仕方なく、

「分かりました。今回は我々の確認不足だったということで、すぐに修理の手配をさせてもらいます。申し訳ありませんでした」

といって、納得はできなかったものの、その場を何とか収集させました。

「とりあえずことを大きくするのは避けたかったんです。管理会社も不服そうでした」

しかし、ほっとしたのも束の間、2週間後、再び高城オーナーの携帯にA氏から電話がかかってきました。

「床に大きな傷があるのを発見した。これは俺が付けたものじゃないから、退去のときに弁償しないからな!」

「一体どうなっているんだ!」と思いながら、高城オーナーは再び管理会社とともにA氏の部屋を訪ねました。応対したA氏はまたしても激高していたそうです。

「床は前の入居者が出た際に張り替えた新品でしたが、何を言っても聞く耳持たぬという感じで、1時間以上も押し問答が続きました。やむを得ず、床のキズについては補修を求めないことにしました」

 A氏はそれからも「備え付けのエアコンの効きが悪い」「窓の建付が悪く開きにくい」といったクレームを言い続けました。このままではずっと気が休まらないと考えた高城オーナーは管理会社と相談の上、独自のチェック表を作成。嫌がるA氏を説得し、部屋の隅々まで問題がないかを確認したそうです。

「さすがに私と管理会社2人が立ち会って、細かいところまですべて確認したので、以降、クレームは一切来なくなりました。一時は着信音が鳴るのが怖かったです」

 クレームにもさまざまな種類があります。純粋にオーナーの不手際が原因のものもあれば、今回のケースのように“いちゃもん”に近いものもあります。決してあきらめることなく問題解決に臨んで下さい。賃貸経営に関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。