郵便局が空き家管理サービスに参入か!?|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.01.09

郵便局が空き家管理サービスに参入か!?

郵便局が空き家管理サービスに参入か!?
「まさか郵便局が不動産サービスに乗り出してくるとは・・・。理にかなったサービスとはいえ、正直驚きました」

 日本郵便が昨年11月末に発表したリリースが、不動産ならびにリフォーム業界で話題になっている。その内容とは「空き家みまもりサービスの試験運用を始める」というもの。そう、郵便局が空き家管理サービスに乗り出すというのだ。
 空き家問題が深刻化していることについては、テレビや新聞などでたびたび取り上げられているため、おそらくほとんどの方がご存知のことだろう。3年前に発表された統計によると、全国にはおよそ846万戸の空き家があるとされる。しかもその数は年々増え続けているという。現在は850万戸を超えているかもしれない。数だけ聞いてもピンとこないかも知れないが、世の中にある戸建住宅の約6分の1が空き家になっていると言われれば、もう少しイメージがしやすいのではないだろうか。とにかく、ものすごい数の空き家があるわけだ。

「全国、全国っていうけれど、空き家なんて田舎だけの問題だろう」

都心部に住んでいる方はそんなふうに思うかもしれない。確かに、少し前まで空き家は地方に多い傾向があった。しかし、最近はこの状況が変わりつつある。実は都心部でも空き家がどんどん増えているのだ。一見、空き家とは無縁そうな東京には約82万戸もの空き家がある。驚くべきことに、空き家総数の10分の1は東京にあるのだ。このまま増え続ければ、あと数年のうちに100万戸を超えるだろう。お隣、神奈川県にも50万戸近い空き家がある。首都圏以外に目を移すと、大阪には約68万戸、愛知県には約42万戸ある。どこもかしこも空き家だらけだ。今や空き家問題は、地方都市だけの問題でないことがよくお分かりいただけるだろう。
 全国にこれだけ多くの空き家があるということは、裏を返せば数え切れないほど多くのビジネスチャンスもあるということだ。空き家は管理、残置物整理、売却、リフォーム等々、さまざまなビジネスと親和性が高い。実際、空き家問題が大きくクローズアップされて以降、多くの企業が空き家に関連したサービスに参入している。今回の日本郵政の動きもそのひとつということだ。
 日本郵政が行うサービスは次のような内容だ。郵便局員が空き物件を訪問し、外観の状況や戸締りなど、同社が定めた7項目の確認を行う。結果は写真付きの報告書にまとめ、所有者に送る。料金は訪問1回につき980円(税込)だ。建物内の通風、通水、郵便ポストの片付け、災害後見守りサービスなどはオプションとなっている。
 注目すべきはその料金の安さだ。この手のサービスの相場は、月額料金で5000円~1万円台半ばだと言われている。それを考えると、破格と言っていいレベルの料金だ。これは、郵便配達員をそのまま活用できる郵便局でなければ、まず出せない価格だ。本参入となれば、空き家管理サービスを提供している業者にとって脅威になることは間違いない。
 日本郵政は空き家管理サービスの実運用に向け、まずは1年程度の試行を行うという。今月末を目処に、100名程度の空き家所有者を募集している。どんな結果が出るか、その動向に注目したい。