有名不動産投資家がコロナ給付金・補助金の不正受給で逮捕!発 有名不動産投資家が逮捕で|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.02.06

有名不動産投資家がコロナ給付金・補助金の不正受給で逮捕!発 有名不動産投資家が逮捕で

有名不動産投資家がコロナ給付金・補助金の不正受給で逮捕!発 有名不動産投資家が逮捕で
不正受給が多発

 新型コロナウイルス後の経済対策として、国や自治体によって創設された補助金制度を悪用した詐欺事件が後を絶たない。1月5日には石川県で、能美市在住で、同市内に複数のビルを所有する不動産投資家、河上伸之容疑者と会社役員の西昭洋容疑者が、県が実施する新型コロナウイルス検査無料化事業の補助金約174万円を騙し取ったとして、県警捜査二課と金沢中署によって逮捕された。
 報道によると、2人は、河上容疑者が所有するビルで開設した無料検査所を、県が実施するPCR等検査無料化事業に登録し、補助金を受給。このとき、別の場所で実施した検査分も登録した検査所で実施したように装い、昨年8月30日に約400名分174万円を騙し取った疑いが持たれている。
 河上容疑者は「資産20億円、家賃収入2億5000万円」を謳う、不動産業界ではちょっと名の知れた有名人だ。不動産投資本の出版やオンラインサロンの主宰、講演活動なども行っている。174万円は大金であることには違いないが、資産が20億円ある人間にとっては、たいした金額ではないだろう。だが、それにも関わらず、今回の犯罪に手を染めたということは、事業はうまくいっておらず、資金繰りに相当苦労していたからではないのかと勘繰りたくなる。20億円分の資産があるとはいえ、そのほとんどは金融機関などから借金をして手に入れているはずなので、月々の返済も相当な額になるはずだ。所有するビルの入居率がちょっと下がるだけでも、資金繰りが悪化する可能性は十分にある。
 実際の状況はどうなのだろうか。金沢市内にビルを所有し、河上容疑者とも面識があるというA氏に聞いてみた。

「正直なところ、経営が苦しいという話は聞いたことがありません。河上容疑者は不動産投資と並行してやっているメロンパン販売の事業も、コロナ禍の影響で売上や店舗数が減っているかも知れませんが、大半はフランチャイズで自己投資が必要ないため、資金繰りに苦労するとは思えません。なぜこんな事件を起こしてしまったのか、理解に苦しみます」

 市内で不動産会社を経営するB氏は次のように話す。

「人物としてはいたって真面目。例え不動産経営がうまくいってなかったとしても、率先して今回のような犯罪を起こすとは思えない」

他にも数名から話を聞いてみたが、詐欺に加担するような人物ではないという証言がほとんどだった。ただ、次のような意見もある。

「若い不動産投資家によくいる、儲け話には乗りやすいタイプだった。犯罪という意識はなかったかもしれないが、儲かると思って手を出したのだろう。ビル経営だけに集中しておけば良かったものを・・・」

 警察が河上容疑者の認否を明らかにしていないため、本件の主犯が2人のうちどちらだったのかは現時点では分からない。ただ、西容疑者は過去にもコロナ補助金詐欺の逮捕歴があるということなので、河上容疑者は物件を提供しただけなのかもしれない。とはいえ、河上容疑者も補助金からいくらかの分け前をもらっていたはずで、「まったく知らなかった」で済まされない。例え知らなかったとしても、どこかの段階で何かしらの疑念を抱いたことはあるはずだ。
 国や自治体はここにきて、コロナ絡みの給付金、補助金の不正受給の摘発を強化している。不正が認定されれば、個人・法人に関わらず、実名と所在地がネットで公表され、社会的な信用は失墜する。ビジネス的には大きな損失だ。言うまでもなく、一度失った信用は、簡単に取り戻すことができない。あくまでも本紙の予想だが、河上容疑者は今後、融資面で大きなハンディを背負うばかりか、有名不動産投資家としての立場も失うことになるはずだ。
 給付金・補助金の原資はいうまでもなく国民の血税だ。それを不正に受給したのであれば、厳しく罰せられるのは当然のことだ。事件の舞台となった石川県の知事で、本紙でもインタビューしたことがある馳浩県知事も「誠に遺憾であり、当該事業者らに補助金の返還を求めるなど、厳正に対処していく」と手厳しい。手を抜くつもりは一切ない覚悟が伝わってくる。読者のみなさん、もし周りに給付金詐欺に加担している人がいたら、速やかに警察署に出頭することを勧めて下さい。