自然災害鑑定士に聞きました~火災保険で雪災対策~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2023.02.20

自然災害鑑定士に聞きました~火災保険で雪災対策~

自然災害鑑定士に聞きました~火災保険で雪災対策~
大雪で穴が空いた自宅の屋根 火災保険で修理できるって本当なの???


 新しい年が始まりました。新年早々、日本海に面した新潟県や石川県などは大雪に見舞われ、大変なことになっているようです。しばらくしたら詳しい被害状況も明らかになることでしょう。
 さて、大雪で自宅が被害を受けた際に、多くの方が頭を悩ませるのが修理費用をどう工面するかということです。ただでさえ支出がかさむこの時期、数万円程度であればどうにかなっても、10万円を超える修理費用を捻出するのは容易ではありません。かといって破損した箇所をそのまま放置しておくわけにはいきません。一体どうすれば良いのでしょうか?
 そこで注目されるのが火災保険です。本紙でも過去に何度か取り上げたことがありますが、最近購読を始めたという方のために改めて、大雪で自宅が被害を受けた際の火災保険の使い方についてまとめたいと思います。

「雪の重みで屋根に大きな穴が空いてしまった。すぐに修理しようと思って工務店に見積もりを取ったところ、30万円近くかかると言われた。年末に出費が重なって手元にもうそれだけの余裕がない。どうしたものだろうか・・・」

 大雪で自宅が被害を受けた方の中には、こうした悩みを抱えている方が必ずいるものです。今の時代、親戚に頭を下げてお金を借りるのもそう簡単ではありません。一体どうやって修理費用を工面すれば良いのでしょうか?
 持ち家の方はたいてい火災保険に加入しているかと思います。実はこの火災保険が、こうしたケースで役立つことをご存知でしょうか?
火災保険が「火災」に対してだけ補償してくれるものだと思い込んでいる方は、意外と多いようです。確かに、名称だけ見たらそう思うかもしれませんが、思い返してみて下さい。加入する際に「火災以外にも、大雨や大雪、落雷といった自然災害による被害も補償します」と言われたのではないでしょうか?自然災害の補償が後になって付いたわけでも、保険会社の方が善意で補償してくれるわけでもありません。ちゃんとそうした内容を把握したうえで契約しているはずです。要は、時間が経つうちに契約内容を忘れてしまっているだけなのです。もっとも、毎年契約内容を見直す人はほとんどいませんから、仕方ないことなのかもしれません。
さて、少々話が逸れてしまいましたが、大雪で受けた自宅の損傷を火災保険を使って直すのには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか?まとめていきたいと思います。
 まず重要になってくるのが、補償の対象をどうしているかです。補償の対象は、家そのものと浴室、キッチンなど、動かすことのできない住宅設備を含む「建物」と、家電製品や家具などの「家財」の2種類あり、契約時にいずれか、もしくは両方を選択します。補償を受けるためには、被害を受けたものと契約時に指定した補償対象が一致していないといけません。冒頭のケースのように屋根が損傷した場合は、「建物」を補償対象にしていないと、保険金を受け取ることはできないというわけです。大雪に限らず、自然災害で家財だけが被害を受けるケースは稀です。つまり最低限、「建物」だけでも補償を受けられるようにしておくことが望ましいと言えるでしょう。
 また、一見すると雪による被害でも、補償の対象とならないケースがあります。例えば雪解け水で洪水が発生した場合です。これは、水災と呼ばれる災害被害の範疇になるため、水災補償の対象となります。当然、適用条件が雪災とは異なるため、別途確認が必要です。また、凍結や除雪作業中の被害等も雪災補償の対象外となります。
 他にも、大雪が降った際に雨漏りが発生した場合でも、それが雪が直接的な原因で発生したものではなく、経年劣化が原因だと判断されると、保険金は下りません。なかなか判断の難しいところではありますが、被害が発生した際に保険金がもらえないということがないように、日頃から建物のメンテナンスを心掛けるようにしましょう。
 もう一つ、掛け金を減らす際に用いられる自己負担額の設定についても確認しておきましょう。この設定方法には2つの方法があります。一つは自己負担額を定めるやり方で、損害額から自己負担額を差し引いた分が保険金として支払われます。仮に自己負担額を6万円としていた場合、損害額が6万円を超えていないと保険金は下りません。もう一つ、予め損害額が一定の金額を超えた場合に保険金をもらえるようにするやり方もあります。例えば金額を20万円と定めた場合、損害額が20万円を1円でも超えない限り、保険金を受け取ることはできません。
 いかがでしたでしょうか?今の時代、自然災害はいつ、いかなる場所で発生するか分かりません。万が一の場合に備えて、今のうちに火災保険の内容を見直してみてはいかがでしょうか?ご相談はお近くの自然災害鑑定士まで。