賃貸トラブル相談室~地元で一番の老舗はいい加減な管理会社だった!~|住生活新聞 記者の目|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.03.27

賃貸トラブル相談室~地元で一番の老舗はいい加減な管理会社だった!~

賃貸トラブル相談室~地元で一番の老舗はいい加減な管理会社だった!~
清掃を外注せずに費用をピンハネ

 賃貸経営ではいろいろなトラブルが発生します。日々、トラブルとの戦いだと言っても過言ではありません。安定した経営を実現するためには、法律的な知識を身に付け、トラブルごとの対処法を知っておく必要がります。実際に起きたトラブルを取材しました。

「地元では老舗として有名な管理会社だったので安心していましたが、まさかあんないい加減だったとは・・・」

 神奈川県川崎市に総戸数28戸の賃貸マンションを所有する山下達樹オーナー(仮名)はため息交じりにこう言いました。
 山下オーナーは2010年に、親から相続した土地にマンションを建設して賃貸業をスタートさせました。山下さん自身は大手の通信会社に勤務していて、東京都内に住んでいます。そのため、マンションの管理は川崎市内の不動産会社に任せていました。

「いくつかあった候補の中から、地元で一番の老舗だというある不動産会社に管理をお願いしていました。最寄り駅の前に仲介店舗も出していたので、客付けも安心だと思ったんです」

 山下オーナーの期待通り、マンションは完成前には満室となり、順調なスタートを切りました。しかし、それから1年半が経過した頃、とんでもない事実が明らかになりました。
 その日、山下さんは忙しい仕事の合間を縫って、久しぶりにマンションを訪れました。しかし、敷地内に一歩足を踏み入れるや否や、ある異変に気付いたそうです。

「エントランスに置いてあるゴミ箱からチラシなどのゴミがあふれ出て、床に散らかっていたんです。おまけに隅の方にはペットボトルが投げ捨てられていました。駐輪場も自転車が倒れていてぐちゃぐちゃでした。毎週、定期清掃が入っているはずなのに、なんでこんなに汚れているんだと、不思議に思いました」

 そのまま放っておくわけにもいかないため、山下さんは現場の写真を携帯電話で撮影し、散らかったゴミを片付けました。ちょうどそのとき、エレベータから入居者らしき人が降りてきたため、山下さんは物件のオーナーであることを告げ、いつ頃からゴミが散らかっていたのかを聞いてみました。すると、驚くべき返事が返ってきたそうです。

「もう何週間も前から散らかっていたというんです。おまけに掃除をしている人の姿は一度も見たことがないというじゃありませんか。そりゃ驚きましたよ」

 山下さんはすぐに管理会社に連絡をしようとしました。しかし、その日はあいにく水曜日で管理会社が休みだったため、実際に連絡が取れたのは翌日になってからだったそうです。

「証拠の写真を送って、入居者から聞いた話を伝えたところ、とんでもない事実が明らかになりました。実は定期清掃は入っておらず、物件の担当者がたまにきてゴミ箱に溜まったゴミを片付けていただけだったんです。こちらは管理料とは別に定期清掃代も支払っていたのに・・・」

 驚くべきことに、管理会社は清掃業務を外注せずに、山下さんから受け取っていた清掃費をピンハネしていたのです。清掃は社員がたまにきてやっていたそうですが、ゴミを掃く程度で、拭き掃除は一度もしていなかったようです。怒りを通り越して呆れて果てたという山下さんは、すぐに管理契約を解除。清掃費用として支払っていたお金も、全額返還してもらったそうです。

「任せっきりにして、1年も物件の様子を見に行っていなかったのがいけなかったのだと思います。以降は、どんなに忙しくても、1カ月に1度は物件に足を運ぶようにしています」

 新たに管理を任せた管理会社は、小さいながらも丁寧に仕事をしてくれているそうで、現在はエントランスや駐輪場が散らかることは一切ないそうです。

「清掃業者が来ていないことを教えてくれた入居者から『以前とは比べ物にならないほどマンションがキレイになった』と声をかけられました。あのとき物件を見に来ていなかったらと思うと、ゾッとしますね」

 管理会社の中には、いい加減な業者もいます。本当に良い管理会社なのかは、「看板」だけでは分かりません。自らの目で見て判断するようにしましょう。賃貸経営に関するお悩みや相談事は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。