積水化学工業でもアパートに施工不備が発覚!|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.05.08

積水化学工業でもアパートに施工不備が発覚!

積水化学工業でもアパートに施工不備が発覚!
問題をいつから把握していたのか・・・、残る疑問


-意図的だったのか、それともそうではなかったのか・・・-


 4月14日、積水化学工業が建築した住宅・木造共同住宅(アパート)で、建築基準法の規定に適合しない物件が多数あったことが、同社による国道交通省の報告で明らかになった。
発表によると、不備の内容は住宅と共同住宅で異なる。住宅では、同社の住宅事業を担うセキスイハイムグループ会社が平成27年から令和5年3月までに施工した2640棟(窓数7998台)で、大臣認定の仕様に適合しない防火設備(筋違い窓)ものを施工していたことが判明。一方の共同住宅では、大阪セキスイツーユーホーム、東京セキスイツーユーホーム、東北セキスイツーユーホーム(当時)、セキスイハイム東海が昭和62年から平成12年にかけて供給した物件6棟で現地調査を実施したところ、6棟すべてに界壁の一部が施工されていない不備が見つかったという。4社がこの間に供給した共同住宅は他に141棟(界壁が不要な18棟ならびに解体済み14棟を除く)あり、同社は引き続きこれらの建物についても調査を行っていくとしている。
 ここのところ、大手企業よる不正・不祥事が相次いでいる。レオパレス21(東京都中野区)による1500棟を超えるアパートの施工不良、大和ハウス工業(大阪市北区)の建築不備ならびに温泉施設の不当景品類及び不当表現防止法違反、東北工場の現役課長による2億円を超える架空発注、積水ハウス岡山支店で発覚した社員に2名による下請会社女性社員への強制わいせつ等々、数え上げたらキリがない。今回のニュースを聞いて「またか・・・」と呆れた方も多いのではないだろうか。もちろん、不正・不祥事が起きた原因や背景はそれぞれ異なる。だが、どこかに「うちは日本を代表する会社だから多少の無茶をしても大丈夫」という驕りがどこかにあったのではないかと、思わず勘繰りたくなってしまう。「大手の看板を背負っている」というプライドはまるで感じない。
 話を戻す。今回の問題は、同社の申告によって明らかになったわけだが、一体いつから問題を把握したのだろうか。例えば共同住宅における界壁の不備だが、本来は建築基準法に基づき小屋裏まで達するようにしなければならないところ、そうなっていなかったという。しかし、そんなことは施工を担当した下請業者なら一目見ればすぐに分かるはずだ。最近まで同社の耳にまったく入っていなかったというのは、どうも信じられない。これはあくまでも推論だが、先のレオパレス21、大和ハウス工業の問題があったことを受けて、他者の告発でバレる前に、タイミングを見計らって自ら申告しただけではないのか。住宅業界の事情に詳しいある専門家も次のように指摘する。

「レオパレス21、大和ハウス工業の問題が明らかになった時点で、程度の差こそあれ、各社過去に施工した物件についての調査を行っているはずだ。少なくとも、積水化学工業ほどの大手が調査を行わなかったというのはどうも信じられない。推測の域を出ないが、以前から問題を把握していた可能性は十分にあるだろう」

 問題の把握もそうだが、施工不備が意図的なものだったのかという点も重要だ。もし下請け業者が勝手にやったというのなら、積水化学工業は被害者だ。だが、もしそうでなかったとしたら問題は根深い。
 同社は今後、施工不備が見つかった物件については、大臣認定の仕様、ならびに建築基準法に適合させるための改修を行っていくとしている。共同住宅の調査はまだ一部でしか実施されていないため、今後の調査結果次第で、問題はもっと大きくなる可能性がある。これ以上、問題が大きくならないことを祈るばかりだ。