スタン・ハンセン氏インタビュー第2章「プロスポーツ界に学ぶ経営と事業承継①」|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.09.25

スタン・ハンセン氏インタビュー第2章「プロスポーツ界に学ぶ経営と事業承継①」

スタン・ハンセン氏インタビュー第2章「プロスポーツ界に学ぶ経営と事業承継①」
現役時は将来を見据えて不動産に投資

 2023年7月某日、コロナ禍前の活気を取り戻しつつある浅草エリアに1台のワゴン車が停まり、中からカウボーイハットをかぶった大男が現れた。群衆の中でひときわ存在感を放つその男の名はスタン・ハンセン。現役引退後もプロレスファンの間で根強い人気を誇る明レスラーだ。本紙には2度目の登場である。事業家として第2の人生を歩む同氏が、独自の経営哲学を語る。

-先日、私どもが経営している占いの館や温泉旅館に来ていただきました。実は今回取材させて頂く新聞も含め、あれらはM&Aした会社です。70歳近くなって後継ぎがいない、違う事業をやるために今の事業を売却したい、といった方々から会社ごと買わせて頂いています。スタン・ハンセンさんも現役時代も含め、個人事業的な側面があると思いますので、アメリカのM&A事情やご自身が考える子どもへの事業承継等についていろいろお話を伺えればと持っています。

スタン・ハンセン 分かりました。よろしくお願いします。

-プロレス引退後は、事業主としてグッズ販売や肖像権の管理などをされていますが、将来的にそうした事業はどのようにお子さんたちに引き継ごうと考えておられるのでしょうか。「こうして欲しい」「ああして欲しい」というのがあれば教えて下さい。

スタン・ハンセン 「スタン・ハンセン」というキャラクター、名前の価値というものを守っていきたいと思うようになったのは、本当最近のことです。歳をとったということなんでしょうね。問題なくスムーズに、子どもたちに残すためにはどうしたらよいのかと思い、そのためのプロセスを始めたところです。

-M&Aの場合、会社の株を買う場合と、会社の営業権だけ買う事業譲渡と、2つのパターンがあります。スタン・ハンセンは、商標権や名前といったいわば会社の財産だけでなく、個人の資産的なものもあると思うのですが、今後どうしていこうという考えはあるのでしょうか。

スタン・ハンセン 私だけではないと思うのですが、現役時代、ある程度キャリアを積んだ段階でリタイア後は何をしようと考えました。アメリカではレストランやジムを開くケースが特に多かったですね。私の場合はアメリカのミシシッピに家を買って人に貸す、いわば賃貸業をやっていました。低い家賃帯のものだったので、それほど多くの収入があったわけではありませんが、私の場合は割と早い段階で将来を考えて投資していました。

-今でも賃貸業は継続されているのでしょうか。

スタン・ハンセン いえ。1986年に税法が変わり、税的なメリットが得られなくなってしまったため、すべて売却しました。場所が良くなかったこともあり、トータルで考えると失敗でしたね。

-普通、会社を売却した時点で一つの区切りを迎え、第2の人生が始まります。「仕事漬けでしばらく旅行に行けてなかったから、ゆっくり海外でも行こうか」という方は結構いると思います。スタン・ハンセンの場合、現役を退いたときがこれに当たり、今が第2の人生なのかなと思うのですが、さらに次というのは考えているのでしょうか。

スタン・ハンセン レスラー人生については、いずれ終わりが来ることは分かっていたので、そのための準備は常に考えていました。先程の賃貸業がその一つだったわけですが、結果的にこれはうまくいきませんでした。最終的には怪我で現役を引退し、ある程度身体を休めてから第2の人生として先生とコーチをしていました。もともとリングに立つ前にやっていたことなので、マネーメイキングのためというよりは、本来やりたかったことをやるという感じでした。ただ、教育現場は考え方も含めて30年前とは大きく変わっていて、とてもやりづらかった。だから長続きはしませんでした。

(次号へ続く)