50年健楽住宅~リフォーム後に発生する健康被害の実態とは?~|住まい|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.10.09

50年健楽住宅~リフォーム後に発生する健康被害の実態とは?~

50年健楽住宅~リフォーム後に発生する健康被害の実態とは?~
原因はベランダのメンテナンスに使用した合板?


 リフォーム後に健康被害に見舞われる事例が増えています。原因は一体何なのでしょうか?実例をもとに対策について考えてみたいと思います。

「家での生活を快適なものにしようと思ってリフォームしたのに、まさかあんな目に遭うなんて・・・」

こう話すのは愛知県名古屋市にお住いの村岡覚さん(仮名)です。村岡さんは奥さんとお子さんの3人で、当時築20年の一戸建てに住んでいました。購入以来、一度も外壁のメンテナンスをしたことがなかったこともあり、2020年の2年前の夏に外壁の塗り替えを行ったところ、健康被害に遭われたそうです。
 塗り替え工事を依頼したのは、「地元で実績No.1」を謳う外壁専門の工事会社。新聞の折り込みチラシやポスティングなどでよく見かけていたため、工事を依頼したそうです。
 問い合わせを翌日にやってきた担当者は、見るからに好青年。春に入社したばかりとは思えない落ち着きぶりで、村岡さんは

「さすが地元で評判の会社。スタッフの教育もしっかりしている」

と、かなりの好印象を抱きました。その結果、外壁の塗り替えに加え、少し気になり始めていたベランダの防水工事もまとめて依頼したそうです。その後、現場確認、見積り、スケジュール調整が行われ、問い合わせから5日間に正式契約を締結。1週間後から始まった工事は、8日で完了しました。仕上がりも素晴らしく、村岡さんとご家族はとても満足したそうです。

「塗り替え前は薄いブラウン色だったのですが、思い切って白と黒を基調としたモノトーンに変更しました。新築したんじゃないかというくらい、イメージは180度変わりました。塗り斑等もまったくなく、とても満足な仕上がりでした」

 しかし、工事が終わってから3日後、想像をしていなかった出来事が起こります。

「子どもが体調を崩したんです。実は工事中、息子は所属する少年サッカーチームの合宿で家にいませんでした。うちに帰ってきたのは工事が終わった翌日。色が変わった家を見て喜んでいたのですが、次の日の朝、なかなか起きてこないので妻が様子を見に行ったら強い吐き気と眩暈を訴えました。それまで一度もなかったことなので、すぐに病院に連れて行って診察を受けたのですが、原因は分かりませんでした。とりあえずしばらく休んだらめまいはおさまったので、家に戻りました」

ところが帰宅してから5時間後、部屋で休んでいた息子さんは再び吐き気を訴え出しました。村尾さん夫妻は再び病院に駆け込みました。
 一日に2度も同じ症状が起こるのはさすがにおかしいと感じた担当医は、お子さんの周りで最近何か変わったことはないか夫妻に尋ねました。夫妻はこの2週間の変化として、最近、外壁の塗り替えと子ども部屋の外にあるベランダの防水工事を行ったことを告げました。これを聞いた担当医は

「もしかしたら塗装に使った塗料や防水材などに、お子さんの体が反応しやすい有害物質が含まれていたのかもしれません。最近、稀に似たようなケースで当院を訪れるお子さんがいるんですよ。取り急ぎ、工事を頼んだ会社の方に問い合わせてどんな塗料を使ったのか聞いてみて下さい。症状が落ち着くまで、お子さんはベランダがある部屋とは別のところで休ませるようにして下さい」

 翌日、工事を担当した塗装会社の担当はやってくるなり、次のように言いました。

「塗料はうちが長年使っている大手メーカーのもので、過去に人体に影響が出たというような報告はありません。考えられるのは防水工事で使用した合板です。こちらについてはすぐに別のものに施工し直します。いったんそれで症状が落ち着くか様子を見てもらえないでしょうか?」

村尾さんは提案を受け入れ、いったん様子を見ることにしました。

 -また症状が出たらどうしよう・・・-という不安とは裏腹に、再工事後は吐き気などの症状は一切出なくなりました。村岡さんら一家は、生まれ変わった家でようやく落ち着いた日々を過ごせるようになりました。
 新築やリフォームに使用される建材や接着剤などには、人体に悪影響を与える可能性がある有害物質が含まれていることがあります。例え微量であっても、敏感な方はすぐに体が反応し、ひどい場合だとアトピーや喘息などを引き起こすこともあります。何か異常を感じたらすぐに専門家の診察を受け、原因を取り除くようにして下さい。快適かつ健康な住環境に関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。