相続不動産相談所~道路の評価が変わって相続税額が大幅減額~|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2023.10.23

相続不動産相談所~道路の評価が変わって相続税額が大幅減額~

相続不動産相談所~道路の評価が変わって相続税額が大幅減額~
還付金は驚きの1580万円!

 みなさんは、一度納めた相続税が戻ってくることがあることをご存知でしょうか?もちろん、無条件で何でもかんでも戻ってくるわけではありませんが、計算方法や前提となる条件に誤りが見つかった場合、すみやかにその旨を申告し、その内容が認められれば、多い場合、還付額は数千万円を超えることもあります。過去の申告内容に疑問がある方は、再度検証することをおススメします。還付事例を取材しました。

 東京都大田区にお住いの和田恵一さん(46)は、2017年にお母様が亡くなった際に、駐車場として使われていた2つの土地の他、現金や株などを相続しました。2つの土地は和田家の私道を隔てて隣接していて、それぞれ2000㎡と1500㎡の広さがありました。
相続手続きは約10年前から和田家を担当している税理士のもと、速やかに行われ、お母様が亡くなれられてからひと月後には、約1億2000万円の納税が完了したそうです。

「相続人は私だけだったので、土地を売ることなく何とか現預金だけで納税できましたが、正直なところ、あまりにも高額過ぎて納得できませんでした」

 それから1年後。和田さんはある会合で“相続一筋30年”を謳うベテラン税理士S氏と知り合いました。

「何となく『相続一筋』という肩書が気になったんです。だって税理士なら誰でも相続に詳しいはずだし、わざわざ“一筋”なんて強調する必要はないでしょう?結局、3日後に電話してお話を聞かせてもらうことになりました」

 和田さんがS税理士と面談してまず驚いたのは、世の中にいるすべての税理士が相続税に精通しているわけではないということでした。これについては、読者のみなさんの中にも勘違いされている方がおられるのではないでしょうか?税理士にはそれぞれ得意分野があります。S氏のように相続に特化している税理士もいれば、企業顧問専門の税理士もいます。もちろん、税理士資格を取得する際にみな相続税についてもきちんと勉強していますが、相続税は経験がモノを言う特殊な税金です。ただただ教科書通りに手続きをしたのでは、相続人はいくらお金があっても足りません。どこをどうしたら少しでも相続税を減らせるのか、さまざまな角度から検証する必要があります。特に不動産資産が絡んでいる場合は、不動産や建築に関する知識も必要です。経験なくしてできる業務ではありません。
 和田さんは1週間という約束で、相続税の申告に使った資料をS税理士に預けました。
そして約束の日、再びやってきた和田さんに対し、S税理士は次のように言いました。

S税理士「基本的な制度に沿ってきちんと作られた内容でした。おそらくほとんどの税理士が似たような内容になると思います」

和田さん「それじゃ、納税額が変わることはないわけですね?それを聞いて安心しました。お手間を取らせてしまい申し訳ありませんでした」

S税理士「今しがた『ほとんどの税理士』と申し上げましたが、中には例外もあります。例えば私です」

和田さん「どういうことでしょうか?」

S税理士「私が和田さんの案件を担当していたら、こういう内容にはならなかったということです。まだ正確な数字を算出したわけではありませんが、納税額はおそらく1000万円以上変わってくると思います」

和田さん「1000万円以上!?」

金額の大きさに驚愕した和田さんは、最初に和田家の相続手続きを担当した税理士には角が立たないようにきちんと事情を説明したうえで、S税理士に相続還付に向けた再検証を正式に依頼しました。
 ポイントとなったのは「法定外道路」でした。「法定外道路」とは建築基準法で定められている道路に当たらない通路のことで、路線価による評価が適用されません。S税理士によると、和田さんの所有する2つの土地を隔てている道路は、申告済みの書類では「路線価」が適用されて5万円/㎡という評価が付けられていたため、仮にこれが「法定外道路」ということになれば、相続税額は大きく変わるということでした。実際、地元役所に確認を行ったところ、通路は「法定外道路」として認められため、S税理士は改めて相続税を算出。更生手続きを経て、相続税還付の申請を行いました。

「最終的に1580万円が戻ってきました。こんなことがあるんだと驚きました」

 不動産が絡んだ相続は金額が大きくなりがちなため、節税がうまくいった場合、その額も非常に大きなものになります。みなさんが申告した内容は大乗でしたでしょうか?すでに納税してしまった後でも、5年10カ月以内であれば還付の請求はできます。心配がある方は、お近くの相続不動産相談所にお問い合わせ下さい。