闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第46回)|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2023.11.13

闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第46回)

闘将野村「弱小企業を一流へと変える新経営理論」(第46回)
19 高くても商品が悪くても買って売れるお客様の作り方③

-入ってみたらダメなところとか合うところとか分かるものなのですか?

野村 外から見ていると分からないけど、入ってみると分かるよ。

 野村監督と言えども士気を上げるのは難しい。士気は企業に備わっているものなのか?それとも本人の資質なのか?いずれにせよ熱望してこの会社に入りたいという新入社員を除き、士気の高い社員を採用するのは難しい。
 では、士気の高い社員を採用できない中小企業はどのようにしたら良いのか?

①無理して採用しない。士気の低い人間を採用すると、他の社員にも影響が出るからだ。

②外注でできることは外注。なるべく内製化にこだわらない。野球でいえば監督だけが自社社員で、他はすべて助っ人外国人ということです。社員教育の費用、求人募集の費用、社員の給料等を増やしても、一人前になったと思ったら辞めてしまうとなると本末転倒で、結果的に外注の方が安くなる。また、中小企業にとっては人員を多く抱えることはリスクになる。5年同じビジネスモデルが通じない今の時代、違うことをしようと思っても社員が多ければ多いほど、舵を切るのに時間がかかる。スピード経営の観点から考えても、社員は必要最小限に抑えておく方が良い。

③委託やフルコミッションの社員を増やす。実績に応じて支払うのだからリスクはない。ライバル会社よりも高い給料体系にしておけば、優秀な人材も集めやすい。

④アライアンスを組む。一見、①③と同じように見えるが実は全然違う。発想を転換してライバル会社と提携する。業界違いの企業との提携を模索する。先方がすでに自分のところの仕事だけで収支が回っている状態であれば、当社と組むことで+αの利益が得られる可能性があるため、基本的にノーとはならない。当社としても新たにスタッフや組織を作ることなく、先方の組織を利用して売り上げを伸ばせるため、双方にメリットが出てくる。

⑤やり過ぎは社員の士気に影響するから禁物だが、社員の解雇を恐れない。採用して思っていたことと違うというのであれば、そのことを正直に伝えて誠意をもって辞めて頂く。中小企業であれば無駄な余裕資金はないのだから。

 阪神タイガースはどこへ行っても人気球団である。阪神企業のすごいところは、弱くてもお客様が入るところだ。
 仕事で一番つらい言葉がある。

「貴社の方が商品も安いし、物が良いのも分かっているけど・・・。○○さんとの付き合いは切れないんだよ」

阪神タイガースにとってのお客様は観客である。

「弱くても付き合いをやめれないんだよね」

企業の最終目標は、お客様をファンにさせることだ。すごい力である。